書評


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 良書に出会う。気持ちの良いものである。

E.L.R.Ladurie[著]井上・渡辺・波木居[訳](1990)「モンタイユー ピレネーの村1294〜1324.」刀水書房

 魔女裁判記録から当時の村の様子を再現したアナール派歴史学者の歴史物である。マルク・ブロックの「封建社会」、フェルナン・ブローデルの「地中海」も面白かったが、分量、読みやすさからすれば、これらの中でも一番良いように思う。裁判記録から生活史を再現するのは有益な史的方法論だと感じた。

荘子邦雄,大塚仁,平松義郎[編](1972)「刑罰の理論と現実」岩波書店

 日本の刑法の歴史が分かりやすくまとめられている。大学時代に刑法の理論史は読んだことがあるが、より具体的な現場上の要請から生まれた改革などの流れが描かれていて、面白かった。

J.Derrida[著]足立和浩[訳](1976)「根源の彼方に:グラマトロジーについて」現代思想社

 下巻より上巻の方が読みがいがあるが、差異性など認識に関わる徹底した相対性が感じられ面白かった。

Kazari