[良書] Theo Colborn[著]長尾力[訳](2001)「奪われし未来」翔泳社
本書で扱われた事例のメモ。
1960年半ばの五大湖周辺のミンクの不妊の原因は、PCB(ポリ塩化ビフェニール)、10年前に中西部では合成ホルモン剤DES(ジエチルスチルベストロール)による生殖異常が起こった。1970年代、オンタリオ湖のカモメ、ダイオキシン汚染、1980年代、フロリダ、アリゲーター、北ヨーロッパのアザラシ、1990年代、地中海のスジイルカ、PCB汚染によりジステンパー系ウィルスに感染し、大量死。アメリカオオセグロカモメ、カリフォルニアカモメ、2種類のDDT,DDE,合成殺虫剤メトキシクロスにより、オスの生殖器官に「メス化」が生じる。
有害物質の例が154頁に記載。PCB、殺虫剤DDT、クロルデン、リンデン、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、トキサクロン、ヘプタクロル、ダイオキシン。これらが食物連鎖を通じて、人間の脂肪組織などに蓄積されて、性ホルモンなどに影響する。
塩素を多く含まないPCBは、アクロバスター属に属するバクテリア2種により分解されることがあるが、より多くの塩素を含むPCB(例.PCB-153)では、B紫外線くらいでしか分解しない。これらが脂肪組織に蓄積されると、ミシガン湖では、アミ→キュウリウオ→人や、キュウリウオ→マス→人などの食物連鎖で取り込まれた。ミシガン湖の汚染魚が放置され、セグロカモメが食すると、水中の2500万倍へ濃度が上がる。
ベトナム戦争で使われたオレンジ剤は、三種類のガン(軟組織肉腫、非オジキンリンパ腫、ホジキン病)をもたらす(179頁)
ダイオキシンは塩素坐瘡(皮膚病の一種)の原因となる(180頁)。アルキルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールAには、エストロゲン様の効果がある。
<2009.10.25記>