[超低質]William Easterly[著]小浜裕久[ら訳](2009)「傲慢な援助」東洋経済
言い訳本に続く、国際援助機関でもう一度働きたいが故の未練本でしょうか。こうした低質な本を訳すくらいしか仕事がないらしい訳者も情けないもんだ。内容的に支離滅裂な箇所が多い。前半で、巨大プロジェクトはことごとく失敗と2事例くらいで結論しているし、後半の国際機関の成功した援助も1例で、教育や衛生に関するプロジェクトのほとんどが成功していると書いている。Easterlyは真性の智恵遅れではなかろうか。そもそも巨大プロジェクトの典型例のダムも、最近は(例えばアスワンハイダムにしても)多目的ダムだから、ほとんど成功分野も入った事例になってしまうんだがなぁ。
こういう本は、事例研究としても底が浅くて使えないし、援助の教科書としても、論理性が乏しいために役に立たない。Easterly の本は二度と読みたくないので、業績作りのために訳すような愚は犯さないでほしい。
[超低質]Tim Harford[著]遠藤真美[訳](2008)「人は意外に合理的」ランダムハウス講談社
合理性の意味を変えると、いろんな行動を合理的と定義できるという支離滅裂な内容。経済学的な合理性と異なる定義を書いている。例えば、厳密に事前に経済計算してなくてもいいとか、無意識的な判断でよいなど、普通の日常語の「合理性」としてもつかえない水準の定義で笑ってしまいます。
そういう定義だから、AIDs が怖いから、Oral Sexすると、この行動が合理的な行動と解釈するそうなんだ、著者によれば。普通の社会的な危険回避が「合理性」を持っていたとしても何の発見でもないはずだが、・・・。AIDs の革命的な治療薬ができるとこの傾向もなくなるはずだし、そうでないなら、なぜ国を滅ぼすほどにいまだにAIDsが蔓延している地域があるのだ? きっと著者によれば、AIDs が蔓延している地域の人間は合理的じゃないんだろう。つまり、「合理的」の対偶であるAIDs にかかってしまった人はすべて合理的じゃないってことになる。などなど反論がいくらでも成り立つ「合理性」の定義になってます。
[超低質]木下栄蔵(2009)「経済学はなぜ間違い続けるか」徳間書店
上記の2冊とは異なるタイプの低質さです。OR信者の経済学誤読に基づく政策評価が何個か行われています。評価自体はまとも(小泉より麻生の方がまともな経済政策だったなど)なんですが、論理付けは完全な間違いという変な本です。
<2010.11.8記>