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[低質] 法律書経済書経営書目録刊行会(2009)「経済図書総目録」

 もう少し分類がまともなら便利なのだが、分類が異常なため使い勝手が悪い。例えば、アマルティア・センの厚生経済学関係の本が「ケインズ経済理論」に分類されていたりする。普通に「新古典派経済学」という分類をいれておけば、そこに放り込んでおけばいいような内容の本である。分類がなければ仕方がないが、「新古典派経済学理論」という分類を設けており、そこにはたった4冊しか分類されていない。扱う年代で考えているわけでもなさそうで、ここに動学的一般的均衡理論を入れるなら、成長理論も入れるべきである。

 では、経済成長理論がどこに分類されているかと言えば、この本では、「新制度学派経済理論」に分類されている。どんな門外漢が分類したのかと不思議な気持ちになる。図書館でもそんな分類は見たことがない。

 ちなみに堀内・清水の「インセンティブの経済学」もケインズ経済理論に入れられているが、これは金融経済もしくは、ミクロあたりに分類しておくべきだろう。入門経済学の中に応用分野にあたる実験経済学が入っていたりするのも違和感がある。後に「日本経済論」の分類があるにもかかわらず、日本経済関係の本をここに分類するのも変である。

 マクロ経済学の分類には、経済制度の実証分析と設計シリーズの本がある。後に「新制度学派経済理論」があるが、理論だからはずしたのかな。もしそうであるなら、理論をはずして両方入れた方が明瞭だし探しやすい。こうして眺めていると、分類もセンスがあるとは言い難い。マクロ経済学には国際も含めることは可能であるが、後に「国際経済」の分類を設けているのはおかしい。能力の低い人が恣意的に振り分けても、本が探しにくくなるだけである。(重複させて分類していないので純粋に恣意的になっている)

 この分類を見ていると、法律書経済書経営書目録刊行会には、図書館分類に精通した人も、経済全般を学習したことがある人もいないようだ。よくその程度の知識でずうずうしく出版できるなぁ。

<2010.12.28記>

Kazari