[低質] 春山陽一(2000)「英単語倍増術」ちくま新書
もう少し、系統だって接頭辞とか説明しているのかと期待していたが、とても中途半端でがっかりした。これなら、昔、代々木ゼミナールの帆糸満(ホイットマンという詩人が好きだった事に由来するペンネーム)が書いた接頭辞などの薄いシリーズ本の方が出来が良かったし、単純に語彙を増やすなら、英書の"Word Power Made Easy"とかの方が参考になる。
本書のように、英単語を時系列で羅列するだけ、接頭辞で羅列するだけでは、たいして暗記力が上がらない。接頭辞の見分けが難しい英単語が多いため、不都合なものを間隔をあけて表示したり、基本語から落としたりと姑息な手段を講じるしかないためである。また、接頭辞とその他の合成語であった場合でも、現代の意味を導出するのは容易でない事例が多々ある。この本の多くの単語についてもあてはまる。そのため、年代順に派生過程を追った形で学習した方が頭に入る。古英語にせよ、ラテン語経由にせよ、昔の英単語はいまの英単語と綴りも発音も異なる。その辺もまじめに書かれていない。目的(現代英単語の暗記)のためには手段を選ばずといった感じのまとめ方で感心しない。
この本によれば、あとがきのような場所で、英単語を面として捉えた方がいいと著者が言っているが、それならば一単語ずつ、そのように丹念に説明した方が分かりやすい。たぶん、その能力が著者にはなかったんだろう。
<2011.10.18>