[普通]北川俊光(1995)「ビジネス・ゼミナール国際法務入門」日本経済新聞社
普通に国際法務を勉強する目的に適した書物かは専門外なのでよく分からない。これを読むと、現在の多国籍企業の業務がいかに複雑化しているかがよく分かる。また、アメリカの国としての戦略も見えてくる。そういう意味で、専門バカにならないために、経済学者や門外漢の市場万能信仰者などがざっくり目を通しておいた方がいい書物ではある。
図2-3.対米輸出にかかる法規制のメカニズム その1(p50-1)、図2-4.対米輸出にかかる法規制のメカニズム その2(p52-3)など便利である。
[普通]渡部智之(2005)「税務戦略入門」東洋経済
これも国際税務戦略を勉強する目的に適した書物かは専門外なのでよく分からない。これを読むと、日本の法制が、外圧などのつまらない理由で改正されたのが透けて見えてくる。また匿名組合など、脱税以外の存在理由が見当たらないような、禁止すべき組織などがあることも分かってくる。そういう意味で、専門バカにならないために、経済学者などがざっくり目を通しておいた方がいい書物ではある。
この本ではもう少し具体例を取り扱ってほしかった。航空機リースについては、この本の出版後、最高裁判決がすでに出ており、国税庁が負けている。もともと名古屋の徴税担当官が節税に使ってよいと答えていたのに翻したからでもあるが、そもそもこういう仕組み自体を違法にすればいいだけの気がする。こういう脱税行為を行っていた企業が、アメリカの銀行だったり、オランダを経由して行われた事実など知ることができる。
タックスヘイブンに関する記述は弱いので参考にならない。
<2012.3.8>