書評


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最近読んだ本の評価 Part.1 文庫・新書編

 ここの所、忙しくしており、あまり更新できそうもないので、取りあえず、寸評と評価分類を記しておこうと思います。

[良書] 歴史読本編集部[編](2010)「日本の古寺大巡礼」新人物文庫

 普通の観光名所を中心にすることなく、宗派の総本山を中心に解説していたり、戦国武将ゆかりの地に焦点をあてたりしていて切り口が新鮮です。内容は普通だと思います。

[教養書] 歴史街道[編](1993)「解説&ビジュアル 上杉鷹山」PHP文庫
童門冬二(2002)「江戸の財政改革」小学館文庫

 今のご時世に必要な政治家のタイプが分かる本です。もっと良い本があるかもしれません。上杉鷹山の他にも、日本には、江戸時代、藩政改革を実施した多くの俊才がおります。高遠藩の保科正之、肥前藩の鍋島直正(名君)、熊本藩の細川重賢(名君)と堀平太左衛門(名補佐)などは後者の本に紹介されています。他にも、備中松山藩の山田方谷などもおり、現在求められる人材はかくあるべしで、「任期途中で知事を放り出すなんて常軌を逸している」と東国原元知事を批判した石原慎太郎元都知事のような輩ではあり得ないことが分かります。今日、石原氏は2年半近く任期を残して都知事を辞職しました。確か、「私が都知事としてオリンピックの道筋をつける」とか放言してたよなぁ。無節操極まりない原子力推進派の老害政治家は落選させないと後世に祟る。

[普通] 生活ガイド.com(2010)「この街に住め!」マイコミ新書

 タイトルを見た時は、統計の誤用だらけを危惧しましたが、それほどひどい内容ではありませんでした。しかし、その統計の取り方ではというのはいくつかあります。例えば、犯罪統計は細かくメッシュですら最近公開されていますが、住みたい物件の近所で空き巣があっても、持ち家一軒家、分譲マンションン、賃貸アパート、どこに住むのかでその犯罪による影響度はかなり違います。一軒家や賃貸アパートの方が圧倒的に空き巣被害などにあいやすいからです。実際の犯罪の起きた場所の地図を見ながら歩けば明らかなんですが、・・・。

 統計の他、住まい選びに考慮した方がいい点については同意できるのですが、この手の本をまとめるのはすごく難しいと感じます。住み方によって選択すべき要素が異なるし、家族構成によっても住居に近辺に期待する内容が異なるし、いろいろチャート式にでもしない限り、まともな本をかける印象がありません。そういう意味ではテーマに無理がある。誰にでも当てはまりそうな要素で、住まいに関して事前に調べると得する事を列挙するだけでも大変なのに、・・・。給食の有無など視点はいいのですが、あまり役立つ印象は持てませんでした。

[普通] 牧野富太郎(1981)「植物知識」講談社現代文庫

 薄い本ですが、それなりによく調べて書かれてます。若干、自画自賛ぶりが鼻につきますが、花の名称とその言葉が指す花が変遷する場合もよく知られているのが、何個かあり、そのうちのいくつか紹介されていたりするので、言葉に関心がある人も知っておくと何等かの役に立つやもしれません。

[いまいち] さだまさし(2002)「落語まさし版 三国志英雄伝」文春文庫

 昔、カセットか何かで聞いた講談はもっと面白かった印象がありましたが、文字で読むと内容が薄すぎて物足りない感じです。かなり端折っているのもあるし、ある程度三国志の歴史が頭に入っている人は避けた方が良いでしょう。

<2012.10.25>

Kazari