[息抜き] 里中哲彦[編訳](2008)「1日1分半の英語ジョーク」宝島社
息抜きに読んだ本である。特に質が良いとは言えない。訳もおかしいのが散見される。下ネタが多い。一番変だったのは、冗談の中に、ことわざが紛れ込んでいることだ。
The Devil can quote Scripture for his own ends. 悪魔は自分のためには聖書をも引用する。 p88
「Native Speakerも思わず吹き出す」という章に載っていたが、”The Devil can quote Scripture for his own ends.”は、Oxford Dictionary of Proverbsにも載っている有名なことわざである。なぜ間違えたのかなぁ。
まぁそうは言っても、いくつか経済学関係の冗談もあったので、いくつか覚書きしておこうと思って、書いている。
One of the hardest decisions in life is when to start middle age. 人生でもっとも難しい決断のひとつは、いつから中年をはじめるかである。 p35
上記は経済学と関係ないが、なるほどと思った冗談だ。
The only international language seems to be the one in which money talks. 唯一の国際言語は「金がものをいう」ものであるようだ。 (日本語訳変更) p54
類似した事はよく言われるが、money talksが「金がものを言う」ということわざなので、冗談に使える構造になっているとのこと。
Inflation: Being broke with a lot of money in your pocket. インフレーション:ポケットの中に大金があるのに破産している状態 p55
インフレーションとしては大げさ過ぎるのが、冗談なのかな?
Happiness is the interval between periods of unhappiness. 幸福とは、不幸と不幸のあいだの休憩時間。 p57
幸福の冗談としては、witに富み、上品だなと感じた。本書には下品なものも掲載されている。
Don't forget to tell everybody it's a secret. 「秘密だ」ってことを、みんなに言い忘れないようにね。 p66
噂話の冗談だが、日本語でも通用する。
The toughest job in international conferences is how to make the Japanese speak up and how to meke the Indians shut up. 国際会議で最も難しいのは、いかにして日本人に話させ、インド人に黙らせるかである。(日本語訳変更) p76
冗談の類いには、ともすれば人種偏見になるものも多いが、これもよく耳にした冗談である。is が、過去形 was になることを望む。
If you don't pay me back, I will tell all your other creditors that you did! 借金を返してくれなかったら、他の貸主たちに、お前が借金を返したと言いふらすぞ。 (日本語訳変更) p87
心理をうまくついていて、感心してしまった。
Prepositions shouldn't be used to end sentences with. 前置詞を文の終りに使ってはいけません。 (作文技術上の訓戒) Don't use no double negatives. 二重否定を使ってはならない。 p90
文法に関する英語ならではの冗談。
Television is a medium because well-done is rare. テレビは媒体だ。よくできているのはめったにない。 p116
応用範囲の多そうな冗談。最初の単語が媒体であれば、何にでも使える。肉の焼き加減(well-done, medium, rare)を使った冗談だから、英語でないと意味をなさない。
他に長文で面白かったのは、化学式H2Oの水を、H to Oと聞き取った生徒が、H,I,J,K,L,M,N,O と答えるもの(170頁)があった。これは、酸化カリウム K2O などアルファベット順の化学式に使える。
<2012.12.2>