書評


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[低質]丹羽敏雄(1999)「数学は世界を解明できるか」中公新書

 著者は物理の力学系の教授らしいが、本書を何のために書いたのかさっぱり伝わってこなかった。この書物以前に出版された非線形の動学の書物に良書は多々あり、それらと比較して、説明が良いわけでもなく、物理学で用いた数学の歴史書としても中途半端である。

 私には既知の事柄ばかりだったのと、説明のうまさを感じられる箇所がまるでなかったことから、評価が低くならざるを得なかった。非常に挑戦的な表題なので、内容もそうなのかと期待した事もいけなかったかもしれない。

[低質]谷口克広(1998)「信長の親衛隊」中公新書

 評価は低質にしたが、内容が悪いわけではない。雑誌に書き散らした内容をさして調整もせずに一冊にまとめた形の新書で、重複が多いこと、信長の側近を取り上げるにあたって、どのような全体像を提供しようとしているのか、前置きなどの説明が不十分なことなどが不満に感じる。

 マイナーな武将たちの様子が分かるのは面白いし、もし信長の側近の特徴を際立たせたかったのなら、豊臣秀吉の配下の仕組みや徳川家康の配下の仕組みとの違いを図表などにして説明するなどすれば、より新書にふさわしい内容になったのではないか。

 特定の章は面白いのでもったいない感じがした。

<2013.2.6>

Kazari