間違った論理の普及が多い。農水省の対応だけを見て、輸入牛肉の方が安全というような場合がそうである。根拠が乏しすぎる。そもそも、輸入した牛骨粉が原因で国内の牛に感染したのだ。正確に言えば、1986年頃以降に輸入した家畜用食材で国内の牛に感染したのが最近になって発病したのである。意味もなく輸入牛肉が安全というのは明確におかしい。あらゆる牛骨粉関連商品を輸入規制しなかったことを非難せずに農水省を非難することは論理的とはいえない。アメリカ牛が安全というメディアもある。遺伝子組み替え小麦を輸出してきたアメリカが。輸入して問題になったのはつい最近であるし、対策も取られていない。
フランスは「骨髄を損傷しない牛肉のさばき方をしているから安心」という報道があった。もし損傷した場合、どう処理してるのだろう。民間企業任せだろうか。正確に事実を報道してくれないと安全かどうか判断はできない。国内市場には出さなくても輸出することは往々にしてあった。日本に輸出された肉が安全となぜいえるのだろう。例えば、一時期、国内向けに禁止していた牛骨粉をアジアに輸出していたイギリスはどう捉えるべきであるか。
血液製剤も「危険だ」と告知したものの、輸出され続けた。告知したから無罪放免。法的にはそうだろう。法的制限がなければ、他国の人が死ぬかもしれない製品が輸出されるのは現実である。今後も起こる。この場合、常に輸入国側に非があるのだろうか。そうならば、情報不足の国ほど不利になる。情報を隠されたらどうなるだろう。一般的に情報面で不利な立場にある途上国は常に不利になるだろう。先進国はそれが当然とでも言うのだろうか。先進国って傲慢だからそうかもしれない。
国内で問題となるものを輸出するのは道徳的、倫理的に問題がある。しかし、市場経済はそれすら抑止できない。日本もアジアに有害廃棄物をじゃんじゃん輸出してきた。麻薬は輸出国が悪いとアメリカは主張するが、多くの国で内戦を激化させた武器を輸出し続けているアメリカやフランスやイスラエルはどうなのだろう。市場メカニズム+民主主義は生産者優位に動きやすい。更に言えば先進国に、もっといえば権力のある者に優位に。
食材に関しては消費者団体が賢く強くなれば、ある程度は改善し、消費者の安全度は増加するだろうが、他の製品はいつまで経ってもイタチごっこ状態で駄目そうだ。