時事批評

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 目を覆いたくなる変な論理の横行。自己責任、年金問題など次から次へと出ている。例外は、筑紫哲也キャスターが多事総論で、「別の自己責任」として正論をきちんと言っていたくらいだ。人質事件の自己責任を言うのなら、血液製剤の輸入にまつわる旧厚生省及び旧厚生省の血液製剤の委員会に関わっていた専門家の自己責任はどうすべきだろうか。また、その血液製剤輸入当時の厚生大臣(小泉という政治家)にも自己責任があるだろう。税金を無駄に使った自己責任というのなら、基礎研究報告書の民間委託を受けた冴えない学者から、予算全体すべてに該当しそうである。論理的には予算案を決定する議会(つまり国会議員)に最大の自己責任がある。

 年金についてはおかしな展開になりそうな危うい議論が多い。基本は一元化ではなく、OECD各国の年金改革を見ても明瞭であるが、賦課方式から積立方式への移行である。今のような(修正積立方式とか変な名称で国民を欺いている)実質賦課方式から、一元化だけ実施しても無意味だ。将来受け取りの保証がない。

 また、積立の場合は受け取りの保証が明確なので、所得に関係なく一律額でも、個人別に所得割部分を作ることもできる一方、賦課方式に拘るなら、累進制にしないと制度を維持できる状況にない。賦課方式にするなら税金として徴収し、所得割を作る以外ないだろう。一時的に、積立で補えない世代を消費税の一部を使うなどで、積立方式に移行するのか、それとも、一元化、税金徴収、所得割の賦課方式にするのかぐらいしか、現在の年金制度が持続可能な道はないように思える。

Kazari