またしても小泉純一郎の無知な発言を聞く羽目になり憂鬱になる。モンゴル訪問前の靖国問題に対するマスメディア批判は、まるで村上世彰の発言とひとしく幼稚である。そして8月11日モンゴル訪問時、日本人のウランバートル収容所の慰霊碑に祈りを捧げた。このニュース報道で、国民に対して「日本人がウランバートル収容所で2000人近く収容され亡くなった事をほとんどの日本人が知らないでしょう。他国でこうした慰霊碑に参拝できて嬉しい」といった内容の事を喋っていた。自らの国民を無知であるかのような発言であるが、ウランバートル収容所を知っていることを誇る小泉純一郎は、日本人がいかに太平洋戦争で他国の人を徴兵し、他国の人をどれほど殺したか正確に知っているのだろうか。
特に問題なのは後半部分である。他国の慰霊碑を嬉しく思うなら、何故同等のものが日本にすべてないのだろう。あるのは「もうひとつの外国人墓地」と言われる横浜市保土ケ谷区にある「英連邦戦死者墓地」くらいではないだろうか(参考web頁など)。弔われているのはアジア諸国の収容所での強制労働に耐え、さらに日本に連行され死んだ英連邦9カ国(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インド、パキスタン、米国、オランダの各国戦没者)の捕虜1873人である。この墓地はサンフランシスコ講和条約の「日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定」によって、1950年に日本政府から英連邦戦死者墓地管理委員会に永久に貸与されたが、英連邦戦死者墓地の説明には、ずうずうしく墓地のある土地が「日本国政府の厚意によって提供された」と書かれている。
沖縄の平和祈念公園では靖国などと違い、真に平和を願っているため、沖縄で死亡した民間人、日本兵、米兵など沖縄戦で亡くなった全ての人々の氏名を刻んである祈念碑がある。日本の首都東京にはこれと同等の平和施設がまったくないのは何故だろう。ヤマトンチュでありながら、ヤマトは琉球に一度統治してもらった方がいいのではないかと真剣に考えずにはいられない。いまだに平和学習といえば、沖縄>長崎>広島に行くのが良いというのは、どういうことだ。
日本と共にインパール作戦で戦ったインド人、日本と共闘したインドネシア人、従軍させた台湾の先住民など、無理矢理、靖国に合祀など論外であるし、彼らの慰霊や平和について日本政府は誠実な対応をしているだろうか。相手を見て自国を鑑みれないのは、小泉純一郎が超ド級の阿保なせいだろうか。自民党が神道を信奉し、党員の信仰の自由を楯に、国民の代表を名乗り、憲法をもないがしろにしながら、何でもなし崩し的に強行していくのを国民は見過ごしていいのだろうか。国民がこうした行為を阻止できなければ、いずれ国民にその責任は戦争への強制参加という恐ろしい債務となって返ってくるだろう。本当の愛国心とは、平和を築く、武器を捨てる勇気ではないのか。
これを機に、以前、自民党党大会における小泉純一郎の意味不明の演説全文を探した。しかし、web上掲載されていた全文はまったく意味不明の日本語だったためか削除されたようで、見当たらなくなってしまった。ブッシュ大統領と親密なだけあって発言内容が支離滅裂で、長い文章は原稿を見ながらでないと意味のある日本語にできないなど、演説が下手な点は瓜二つである。愛する我が国の首相として不適格である彼には、有終の美を「国会議員の引退」で飾って欲しいものである。
<2006.8.12記>