最近、新聞の質は落ちている。少なくとも日経新聞や読売新聞は必要ない水準まで質は低下しているだろう。善良な市民はこうしたメディアに騙されないためにも、新聞など独占的企業の不買を行い、もっと良質のメディアを積極的に求めていかなければならないようだ。提灯記事や恐怖を煽る記事でいたずらに無駄な心配をしても、専門家に任せても、日本はよくならない。あれだけ騒いだ鳥インフルエンザはその後どうなったのだろうか。単にワクチン会社のボロ儲けを生んだだけではないのか。国民の税金をこんな無駄な事に使っていいのか。マスメディアが騒ぐことは、政治家が予算を裂かざるを得ない圧力になる。マスメディアが、その責任を取る必要は無いのだろうか。
マスメディアの変な報道例.ピロリ菌報道
ある番組で、胃がんになった人の94%がピロリ菌に感染しており、ピロリ菌に感染していない人の5倍程度の胃がんが発生しやすくなると脅していた。そもそも胃がんを発生しなかった人の75%もの人がピロリ菌を持っている。一概に有害物質といえるのか、この数字だけでも疑問をもつ。専門家でもピロリ菌が胃炎の原因となっており、慢性の胃潰瘍治療にピロリ菌除菌療法が効くことは分かっているが、ざっとWeb検索して調べる限り、どういうメカニズムかまでは明瞭に分かっていないという情報しか見られない。
報道内容のデータから逆算すると、ピロリ菌保有者が胃がんになる確率は、94a/(94a+75)で、ピロリ菌非保有者が胃がんになる確率が、6a/(6a+25)である。この比が5倍とすると、aは0.025くらいで、ピロリ菌の有無に関わらず、胃がんになる人は2.5%程度である。更にa=0.025として、各々の胃がん発生率を計算すると、ピロリ菌保有者が胃がんになる確率は3%、ピロリ菌非保有者が胃がんになる確率が0.6%ということになる。とてもニュースにするほどの画期的な違いとは思われない。単独でどれほど悪影響を及ぼす菌なのかも疑問が残る。通常は共存可能な菌だろう。「ピロリ菌感染者には花粉症が少ないと言われています。しかし、現在分かっていることを考えると、今のところは有害と考えたほうがよい」との意見があるが、今のところは注意が必要程度ではないかと思われる。
例えば、胃がん発生率が塩分の摂取量に比例して6倍以上高くなると言われている。それなら、現在の日本人の平均的栄養摂取状態から言えば、塩分過多の方が大いに問題があるし、外食産業における塩分表示義務や塩分量のガイドラインの方が国民の健康に大きく寄与するのである。この他にも飲酒が慢性胃炎を悪化させ、胃がんの発生率をあげるなどの理由から、男性の方が女性より2倍程度、胃がんの発生率は高い。総合的に考えると、塩分摂取量の対策が一番有効だろう。ピロリ菌など悪者かも分からないものに通常の胃炎を起こしていない保菌者は対策を取りようがない。恐怖を煽るニュースは必要ない。
<2006.9.6記9.8追記>