ニュースを操作するキャスター
先日テレビ番組で、消費者金融の犠牲者と戦う弁護士が、今回の貸金業規制法の改悪について語っていた。業界の優遇政策にならない改悪は4点ある。前者2点は政治家が口頭で触れるにしても、実際に真面目に検討していない内容だけに詳細に指摘しておきたい。
- 1)利息制限法の現在の上限金利の区分は、借金額の元本が10万円未満で年20%、100万円未満で同18%、100万円以上で15%であった。これを50万円未満20%、50万円以上 500万円までが18%、500万円以上15%に引上げた。少額の借入10万以上50万未満が18%から20%になり2%増加、100万以上500万円未満が15%から18%と3%の引き上げになり、こうした金利区分に多くの債務者がいる。
- 2)本人の意思に関わらず、契約をした際、自動的に生命保険に入る契約に変更された。
- 3)法の施行まで時間がかかる。
- 4)特例金利がある。
そしてその弁護士が生放送でもたらした貴重な情報を話す事をキャスターが止めた。キャスターが止めた情報内容を記載しておく事は重要であるため、書き留める。
- 1)今回の改悪は、グレーゾーンの金利(「出資法」の上限金利29.2%と、「利息制限法」の上限金利15〜20%の間の金利)を、業界の権利として最大金利29.2%を金利上限とするように目指した米国の消費者金融2社シティグループ(ディックとユニマットレディス)、米ゼネラル・エレクトリック(GEコンシューマー・ファイナンスとレイク)のロビー活動の賜物であること。
- 2)そして、アーミテージをはじめとする米国政治家が、日本の自民党議員に書簡を送り、圧力を加えたという内容である。
いくつかは週刊誌に記載されている。
金融庁がつくった貸金業規制法改正案では、グレーゾーン金利を3年の猶予期間後に撤廃する。上限金利は20%まで引き下げるが、その後の最長5年間、少額・短期の融資(個人で貸出額50万円以内、返済期間1年以内、事業者で3カ月・500万円以内)に限り28%の「特例高金利」を認める。金融庁は、消費者金融の利用者は約3000万人、貸出残額は約15兆円にのぼり、特例高金利の対象者は約80万人、貸出残額は約4000億円とみている。
金融庁案では、法律の施行までの1年(通常)を含め、9年間にわたりグレーゾーンの高金利が温存される。金融庁は、中小の貸金業者がつぶれ、この結果審査が厳しくなり、借りられなくなる人が増え、かえってヤミ金の利用者が増えると説明した。
金融庁も自民党案も大同小異で、完済しているのに消費者金融の不法取立てで自殺する多重債務者より、消費者金融を事業とする事業主や貸業者への投資家の方が大切らしい。こういうことをする議員は国賊といえるのではないか。
事件の経過を見ると明白な事は、米国で国内競争が激化した産業がひとつでもあると、日本に圧力をかけ、その度に自民党議員が、国を売ってきたという歴史である。
まず、トイザラスをはじめとする大店舗法の変更がある。Kマートなどの業界が米国内で不振になった時に、日本の大店法は変更された。次に、バブル以降の金融市場の不安定化時に、日本の銀行を外資に破格の条件で売った事もある。生命保険に関しては、ほぼ国民の命を売る形で参入を自由化した結果、生命保険業界の外資シェアは急速に上昇している。
そして、7万ちかくある消費者金融業者のたった2社の米国企業の意向で、今回の委員会が立ち上がったのである。自民党政権である限り、米国の特殊な政治システムへの模倣と米国への日本の切り売りは続く。
選挙方法を小選挙区に議会のみで決めたのは、民主主義に反する立法措置で、これを許したマスメディア、国民、司法には重大な過失責任がある。このつけは重く、今後も日本国民は背負わなければならない。
自民党に投票する人はその結末が、日本がアメリカの属州となることをよく覚えていた方がいい。安部は「美しい国」と称して、かなり極端な神道よりの政策をとるだろう。甘利明のような頭の悪い親米一辺倒の国賊のような議員や、高市早苗のような神道議員が大臣になるような御寒い国になってしまった。
文藝春秋編 日本の論点Plus「グレーゾーン金利」によれば、下記のような週刊朝日の内容を一部、Web上に記載している。
後藤田氏は、「8月にはシーファー米駐日大使が与謝野金融担当大臣に規制強化には賛成しかねると迫った。外資系金融会社、投資銀行は、自社の利益のために注文をつけているだけだ。そうした“内政干渉”には耳を貸せない」と批判している(「週刊朝日」9月22日号)
こうした国民の犠牲のみを強いる外資優遇政策を実施しようと暗躍した議員の実名を指摘しておくは重要だろう。
- 保岡興治、太田誠一、西川公也、甘利明(週刊文春、週刊朝日)
- 塩崎恭久(週刊ポスト)
破産・民事再生・過払い返還 債務整理事例集によれば、下記のような指摘がある。
業界の政治団体「全国貸金業政治連盟」(全政連)が2005年、自民党の政治家23人と各派閥のパーティー券を購入するなど資金提供をしていたことが、同年分の政治資金収支報告書などでわかりました。
次のような議員がパーティー券を売っている。
甘利明30万円、柳沢伯夫20万円、竹本直一18万円、根本匠12万円、柴山昌彦10万円、西川公也10万円、山崎派40万円、伊吹派20万円、高村派20万円、森派20万円、丹羽・古賀派16万円。
安部政権で入閣した国会議員がなんと多い事だろう。こうした点からも米国への日本の切り売りは続くというのは決して絵空事ではないと分かるだろう。
<2006.9.30記>
追記し忘れていたが、日弁連会長に選出された報道を見て、この時の弁護士が宇都宮健児氏であることが分かった。ちなみに制止した側は、読売の辛坊治郎キャスターである。
<2010.7.13追記>