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ロハス(LOHAS)の傲慢

 Marxの引用で十分な批評になるので、以下は「資本論I」からの引用です。

 「資本主義的生産様式の歴史的発端では、至富欲と貪欲とが絶対的熱情として優勢を占める。資本家として成りあがれる者はそれぞれ個別的にこの歴史的段階を通る。しかし、資本主義的生産の進展は、ただ享楽の世界をつくりだすだけではない。それは、投機や信用制度によって、いくらでもにわかな至富の源泉を開く。発展がある程度の高さに達すれば、富の誇示であり同時に信用の手段でもある世間並み程度の浪費は、「不幸な」資本家の営業上の必要にさえなる。奢侈は資本家の交際費の一部にさえなる。・・・だから、資本家の浪費ははでな封建領主の浪費のような無邪気な性質を持っているのではなく、むしろその後ろにはいつでも卑しい貪欲やもっとも小心な打算が潜んでいるのであるが、それにもかかわらず、資本家の浪費は、その蓄積と一緒にに、しかも一方が他方を中断させることなく増大する。それと同時に個々の資本家の高く張った胸の中では、蓄積欲と享楽欲とのファウスト的葛藤が展開されるのである。」

 上記訳はPaul M.Sweezy[著]都留重人[訳](1967)「資本主義発展の理論」新評社98-99頁を参考にした。

 坂本龍一の発言に"ロハスの本質=金持ちの欺瞞"が端的に現れている。彼はテレビのインタビューで「自分の電気使用量(地球温暖化)が前から気になっていて、最近になって発電所を風力に変える契約をした。電気の使用量(浪費)が気にならなくなった。」という主旨の発言を行っていた。

 こんな中途半端な環境配慮をするより、資源浪費分だけ、ボランティアで世の中のためになることをするのが正しいのではないか。それより浪費していないと宣伝することの方が浪費家には大事ということなのか。

<2006.10.01記>

 中古音楽機材の抗議活動にしても何だか冴えないことをしている印象しかなかった坂本龍一であるが、2010年になってNHKの音楽教育番組に出演していた。それまでお笑い系のふざけた番組にしか出演していなかったように思うが、NHK教育「“スコラ”坂本龍一 音楽の学校」(2010年4月3日〜、レギュラー出演)はとても良い番組だった。

 NHKに法外な出演料を要求することなく行っているなら立派である。こういう活動増やせばいいのに。

<2010.07.23追記>

Kazari