時事批評

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原子力発電所と水道水

東京電力にきちんと原発事故の処理業務をさせよう。

 原子力発電所の事故の度に毎回、東京電力という企業は同じ態度を取ってきたのだが、最初に「自分たちだけで処理できる」と政府に報告しておきながら、手に負えなくなると「(後はどうなるかわからないけど)退避させてくれ」という企業には、最終的には業務停止させるのが適当じゃないだろうか。消火活動には、かつての社長などを自衛隊予備役にでも動員してあたるくらいの責任を東京電力と政府には持ってほしいものだ。

 事故の背景には、過去国策として原子力を推進してきた自民党政治があるのだから、現在、自民党は野党だけれども、国会の場で、柏崎刈谷原発の事故を含めて、現政府には、東京電力と官僚に情報公開させる必要がある。

 事故処理にあたりながら、地震・津波以外の故障要因の隠蔽ができないように監視もしなければならない。自民党は情報公開の必要性を認めない愚民化を良しとする政党だから、隠蔽を黙認していたのだろうが、民主党は自民党との違いを際立たせる好機である。大変な仕事であるが、輸血によるHivウィルス感染症への対応と同様にきちんとして欲しい。東京電力は電力需給の復旧などは副社長に任せて、社長は福島第一原発の処理に集中して対処すべきじゃなかろうか。

東京電力の復旧処理が安定したら、原子力安全保安院と国は業務を監視し、地震・津波と関係なく事故原因となった機器の故障などの隠蔽ができないように注視して欲しい。

 今回の放射能漏れ事故には、人災の部分が多分にある。まず想定した地震は、地震学者、東京電力、国の協同責任に相当する部分である。想定した地震と関係なく壊れた部分については検証を必要とするが、ぜひ詳細に行って欲しい。地震・津波によって壊れた事を証明する責任は東京電力にあるが、その証明を監査し、公表する責任は政府にある。故障した機器のメーカーには反論させる機会を与えるといいだろう。

 今回の地震と津波では建物は倒壊しなかったから、建築業者には責任がない。しかし、内部機器が壊れなかったかどうかは分からないし、それを今後の事故検証で、同じ揺れを再現して機器が壊れるか実験をしておく必要がある。この実験により、東京電力のメンテナンス不足が多々判明することだろう。また、津波に関しては、想定を上回るにしても水害対策がどのように施されていたのか、設計から検証し、規制強化する必要も求められている。

 まず事態が安定したら、農家や県は、東京電力と国を相手に訴訟を起こそう。政府は、消火活動や自衛隊の費用ならびに放射能汚染された農業事業者に対する補償金を、東京電力を相手に訴訟を起こそう。東京電力は、社長・取締役の8割程度の減給や社員の2割程度の減給で社会に対する責任を果たし、料金の値上げをせずに企業努力で国への費用を賄うようにさせよう。必要なら自己破産をさせて、問題をあまり起こしていない電力会社に売ることを含めて検討したらどうだろうか。候補は九州電力くらいか?

 特に今回に限らず、企業が法に完全に反する虚偽報告をなして、被害が拡大した場合には、法で定められた以上の課徴金を課す制度を導入すべきだろう。前述の箇所は普遍的には適用できない考えだと思う。PL法を念頭に置いて考えているが、金融商品取引法などのうち有価証券報告違反の課徴をあまり厳罰にすると、検察が恣意的判断から違法性判断が行われやすくなって冤罪が多発しかねない。そうした場合は除外して考えている。この法定以上の課徴金を可能にする制度はアメリカ化が大好きな自民党が行わなかっためずらしい制度でもある。民主党は取り上げにくいかもしれないが、規制緩和だけではなく、必要な規制は行ってほしい。現在、日本では理念が曖昧なまま、課徴金の値上げや、金融商品取引法への課徴金制度の導入、値上げがなされている。

 放射性物質の濃度は半減期の長い物質は体内に蓄積され、食物連鎖によって、人類は報復を受けてしまう。過去たびたび、農薬や水銀などで汚染されている上に、被曝するリスクを負うとなると、ますますガン患者が増加するだろう。一昔前までは三大疾病の死者数は似たような水準にあったが、現在では、悪性腫瘍(ガン)による死亡者数が圧倒的に増えてきている。これというのも、発癌性物質を多々蓄積した動植物を食べなくてはならない現在の食の安全状況が反映されているためである。濃度が低ければ安心というのはデマになりかねないので、きちんと検証するべきだ。

 マスメディアも大した検証もせずに安全というのなら、放送各社は、東京電力の管轄内で、福島第一原発の20〜30KMに仮説放送局を開設し、そこで、そのニュース原稿を読むのが責任ある報道機関というものではないだろうか。ついでに健康被害はないとされるそのホウレン草と牛乳をそこで飲んで、安心させれば効果があるだろう。

 2011.3.18以降の原子力安全保安院の質疑応答を見て、テレビ各局には理系がほとんどいないのだと知る。なんともお寒い状況だ。公正な報道うんぬんを主張したいなら、必要な理系の人材も確保すべきだろう。あまりにおバカな質問をした記者が「解決しました」というのを聞いて腹が立った。「資料を見間違えました。すみません」くらいは言え。無駄な質疑で質問時間を減らしたのだから謝罪するのは当然だ。国会の空転をいつもマスコミは批判しているのだから、同じ過ちを犯したら範を示して謝罪してほしいものだ。マスメディアがこんなだから、体制翼賛的だなどと言われるのだ。

<2011.3.21記>

節電について

 節電について、ホリエモンらのTBSの番組が適当なことを言っていたので、ちょっと試論を書いておこう。まず根本的に重要なのは、公的機関には、一般企業、家庭とは別の送電設備を持っていてもよいのではないかということで、これは既に別所に書いた。技術的にはまだ困難があるかもしれないが、今後はそうした震災対策を施した送電システム構築に向けた努力が必要だろう。

 次に、産業用の電力とは家庭と比べて格段に安いから、電力会社からすれば、産業に節電してもらった方が儲かるという事実がある。よく報道されている日本一高いとされる日本の電気料金は家庭ベースの話で、産業界の電気料金の国際比較は報道されたのを見たことがない。例えば、東京電力の家庭の電力量料金は最初の120kWhまで(第1段階料金)まで1kWhにつき17円87銭(九州電力は16.1円)で、120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金)は22円86銭(九州電力は20.34円)、300kWh超過(第3段階料金)は24円13銭(九州電力は21.72円)、一方、産業用は、夏季1kWhにつき13円20銭、その他12円16銭と随分割安になっている。したがって中長期的には、産業用を10円値上げすると、自家発電への切り替えが急速に普及し、節電も福島第一原発も必要なくなることが予測される。新たな下水処理施設を検討している際に、産業用の下水料金を値上げすれば、下水処理施設ひとつくらい簡単に必要なくなるのだが、電力についても同じことが言えると思う。

 短期的には、現在、商業設備で利用されている直管形蛍光管を電灯型電球に置き換える方が3-4年の電気代で、投資が賄える程度の値上げとなるなら、景気対策になるかもしれない。エコポイント制度が失策だと思うのは、従来のブラウン管(21型)から液晶型(40型)に乗り換えてしまう場合、定格消費電力は100W/hから125W/h程度とかえって増えるのに、エコポイントがつくという矛盾が生じることも挙げられる。他の悪い点は「高額所得者優遇、大企業優遇になる政策リスト」で批評したので繰り返さない。

 ホリエモンがピークだけ節電すればよいと意見していた。しかし、計画停電の時間帯を見ていると、少なくとも計画停電の時間帯は既にかなり平準化されているはずという予想が成り立つ。発表された電力需給を見ると既にかなり平準化されている。原子力発電なら24時間一定の出力が可能だろうが、水力発電などは24時間一定出力することも停電時間帯(am6:00〜pm8:00)だけ一定出力することも無理なはずで、ピークだけの節電制御で電力需給を満たせると考えるのは間違いだろう。しかし、発表されたものを見て企業活動は行い易くなるかもしれないので、電力需給の発表の経済効果は見込めるはずだ。

 ホリエモンは全国の電力を融通すれば節電はいらないはずだとか放言していたが、 下記冊子「FEPC INFOBASE」の19頁に「a-17電力融通」があり、既に電気事業の広域運営は実施されている。影響力の甚大な人は、調べもせずに思いつきを話してはいけない。私は影響力など持たないだろうが、webに公開している以上、肝に銘じておかねば、・・・。東北・東京だけ50Hzというのを中長期的に60Hzに統一すると何か問題があるのか、今後調べてみたい。

 またホリエモンはネオンなどの節電はいらないと言っていたが、これも経済的理由じゃなかろうか?繁華街とはいえ、こうした時勢に馬鹿騒ぎしていると不謹慎という日本の文化もあり、客が少なければ明るくする意義も乏しく、ある程度は経済合理的にそうなっていると私は予想している。それに電力需給が24時間にわたり平準化されれば、夜間に揚水している水力発電は運用ができないだろうし、常にピークに近いと精神的負担は現行より悪化するし、企業活動への経済効果もなくなるだろう。そこまで平準化されないとは思うが、・・・。

 別の番組(たぶんNHK)でオイルショック当時と電力需要の表を用いて産業用(工場など)が65%から45%に減っているという幻想を与える情報操作を国民に行っていた。すごく雑な表だったので出所すら分からない。電気事業連合会が公表している電力統計情報によれば、統計の分類が同一の1979年度(第二次オイルショック)と1999年度の9社合計によれば、従量電灯A・B(単位MWh)の販売電力合計(単位MWh)に占める割合は、19.7%から23.5%しか変化しておらず、家庭の電力使用は大きく変化していない。つまり、産業界の分類が変わっただけで、大方、上記の「65%→45%」の統計数字は、産業が製造業からサービス業へ変化したことが主要因と分かる。つまり従量電灯A・Bで契約している家庭の節電よりは民間企業などの節電の方がはるかに効果が高い。

 念の為、同会の別の冊子「FEPC INFOBASE」の2010年版より、5頁の販売電力量の推移で見てみよう。電灯は一般的家庭に相当すると書いてあるので、1975、2009年度を見ると、1975年度は電灯(815億kWh)/販売電力量(3466億kWh)=23.5%、2009年度は電灯(2850億kWh)/販売電力量(8585億kWh)=33.1%となっている。こちらでは9%増えているが、その他を企業や組織の使用と考えると、76.5%→66.9%と減少しただけで、報道機関が用いたような20%もの変化が生じたわけではない。

 基本的に政府見解擁護の国民を愚弄する報道するのがNHKの特徴である。ときどき日本で一番公正とか勘違いしている意見をwebで見ると、何か勘違いしているのじゃなかろうかと感じてしまう。

<2011.3.22補記>

供給電力の統計について

※統計について補足。東京の発電設備の最大出力で見ると、平成22年3月末「電気事業便覧」を出典として、「FEPC INFOBASE」の2010年版(32頁)によれば、水力が898.6万kW、火力が3818.9万kW、原子力1730.8万kW、地熱・風力0.4万kW、合計6448.7万kWとなっている。%で言うと、各々、13.9%、59.2%、26.8%、0.006%となるが、実際の供給実績とは異なる。ピークに合わせた電力供給に関しては47頁参照。この冊子を読むと、原子力が資本投資、資本廃棄費用を無視すれば、運営費が安いという間違った経済計算に基づいて、開発電力予算の4割もいまだに使用されていると分かる。資本廃棄費用は、将来世代への税金と一緒で、現在の繁栄を優先させている現在の原子力行政が正しいのか、真面目に考えなければいけない。今すでに着工され、将来稼働予定の原子力発電所は、島根県の島根3号(H23年12月稼働予定)、青森県の大間原子力(H26年11月稼働予定)、福井の敦賀3,4号、青森の東通1号と5個ある(49-50頁)。平成24年4月以降の着工については、福島に3個、青森1個、静岡に1個、山口に2個、鹿児島に2個と9機にのぼるが、事故を起こした東京電力の原子力開発(福島第一7,8号、青森東通2号)は新しい震災対策基準ができるまで、特に白紙凍結すべきだろう。現在、東京電力で稼働している柏崎刈谷原子力発電所1,5,6,7号機の最大出力合計は、110x2+135.6x2=491.2万kW、停止合計は、110x(3+6+4)=1430万kWとなり、前述の最大出力1730.8万kWは、理論値(491.2+1430=1921.2)の90%となっている。諸外国の原子力発電設備利用率は9割で、日本全体のは80年代に7割、最大でも1998年の82.8、2009年は64.7に下がっている。現在の東京の原子力発電設備利用率は、大雑把に見れば、491.2/1921.2=25.6である。東京電力の各原子力発電所の各号機の最大発電理論値から、18年度と21年度の各号機の設備利用率をかけると、110x0.934+110x0.659+135.6x0.551+135.6x0.723=347.98万kWが実際に供給可能な線だろうか。先の数字を足していくと898+3819+348=4753万kW、3月17日はピーク時供給力3,350万kWとしているが、たぶん柏崎刈谷の1,5号は19日前後で稼働しているので、23日はピーク時供給力が3,750万kWとなっている。送電線総合損失率は東京で8%なので、理論値に0.92かける必要性があるかも。水力をゼロとしても3819+348=4167万kWで23日の供給力を上回るし、これに4167x0.92=3833万kWとなるから、火力の方も複数ダメになっているのだろう。検索したら、ほとんどテレビ報道されなかった「太平洋沿岸や東京湾にある複数の火力発電所が被災」の記事が見つかった。その9機の火力のロスは、815万kWに相当するらしい。その他にも「中部電力から最大60万kWを融通してもらう」や「松本発電所が通常の50万kWから稼働率を上げて180万kWへ」などの記事がある。3833-815+130+60=3208万kW、これに水力を合わせれば、23日はピーク時供給力が3,750万kWは妥当な数字かも知れない。

<2011.3.22補記>

放射性物質について覚書

 海洋中に通常の126.7倍のヨウ素131と24.8倍のセシウム134が検出されたが、食物連鎖などあっても健康被害はでないと日テレが報じた。ヨウ素131は半減期が8.2日くらいだから、80日で99.9%消滅する。この2つで言えば、今後計測されず、一定期間が過ぎれば問題が少ない放射性物質である。しかし、セシウム134は半減期が2.0652年、99.9%消滅するまでに20.65年もかかる計算になる。この物質が24.8倍検出されて食物連鎖が起きても大丈夫って言うなら、根拠を説明すべきだろう。体外から被曝の場合は、γ線の被曝が鋼鉄やコンクリートでも簡単に防げないから問題になるが、体内被曝だとβ線でも問題になる。通常α線やβ線は、木造でも屋内にいれば遮断されてしまい、被曝することはほとんどない。外部からの被曝ではγ線と中性子線が問題になるが、内部被曝はα、β、γ、中性子線すべてに被曝してしまうし、放射性物質により崩壊過程で放出される放射線の種類は異なるから、実際には、Sv/Bqで示される内部被曝に関する実効線量が重要になる。

 ヨウ素131の場合は、牛乳から幼児への経口摂取による被曝で甲状腺癌が問題になるが、今のレベルであるなら、放射性物質の検出が継続しなければ、1-2週で問題がない水準に下がるものと考えらえる。問題なのは、日テレがセシウム137も16.5倍検出されているのに隠したことにある。他のニュースでは、海水の他に、福島県の水道水でもこの3種類の放射性物質が検出されているので、きちんと根拠を述べた上で安全を説くべきだろう。内部被曝の場合、物理学的半減期と生物学的半減期の両方を考慮する必要があり、危険がないとする報道は、物理学的半減期>生物学的半減期の事例だけを取り上げる傾向にあり、セシウム137などがこれに当たる。セシウム137の場合、物理学的半減期:30年>生物学的半減期:約100日であるが、ヨウ素131の場合は、物理学的半減期:8.2日<生物学的半減期:約120日となるし、ストロンチウム90の場合は、物理学的半減期:28.2年<生物学的半減期:50年となる。人間が放射性物質を経口もしくは吸入摂取してしまった場合は、実効半減期という概念を用いている。それは1/実効半減期=1/物理学的半減期+1/生物学的半減期の計算式で求められる。実効半減期は、ヨウ素131で約8日、セシウム137で100日、ストロンチウム90で18年になる。

 セシウム137の半減期が30年だから、自然界で99.9%消滅するまでに300年かかる計算になるが、人間がセシウムを経口摂取した場合は体外排出されるメカニズムがあるらしく、セシウム137で100-200日程度で、短期間に大量摂取しなければ、こちらも過度の心配はなさそうな放射性物質となっている。実効半減期が200日の場合、99.9%消滅するまでに、2000日(約5年)かかるから、その間被曝の水準は実効半減期の度に1/2程度に減少するとはいえ、無駄な摂取は避けたくなるし、体外に排出されても放射性物質が残るのは問題である。1986年のチェルノブイリの事故では、ヨウ素131、セシウム134とセシウム137が大量に放出され、多くの食品が汚染された。チェルノブイリの事故では特に乳児、幼児の甲状腺癌による死亡が顕著だったが、こちらはヨウ素131の牛乳などによる大量経口摂取が原因と言われている。ヨウ素は甲状腺に集まる性質があり、幼児や児童は成人に比べ、放射能の影響を10倍程度多く受けるともいわれ、そのため大量にヨウ素131を摂取する可能性がある場合は、安定剤ヨウ素を先に体内に取り込み、放射性物質であるヨウ素131を甲状腺に溜めないようにする措置が取られる。40歳未満の人に影響が大きいため、そうした人はヨウ素131の値に注意が必要となっている。

 一般に成人などが一定量以上の被曝した後の影響としては、3年後くらいから白血病、5年以降、通常より多くの癌患者が発生するリスクを負うため、わざわざ放射線被曝量を増やすことは身体によくない。

 一般に流布している物理学的半減期、生物学的半減期ともに、実際にはいろいろな条件によって値が異なる性質の数値である。物理学的半減期も温度、気圧などの影響を受けるし、生物学的半減期も、年齢、体調などに左右される。だから、これらの数値を用いて計算された値も平均的な理論値で、人間の個体差などを考慮したものではない。客観的と呼べば聞こえがいいが、特殊な体質の個人などは無視して議論するということでもある。この辺、過度に科学的根拠に期待できない要因にもなる。安全基準は1/10程度にしているから大丈夫、不安なら云々という意見を述べている事例があるが、実際には個体差など考慮していないから、平均的には大丈夫だけど、個々人に関しては明確なことは言えないというのが正しいはずだ。そして、実効線量係数の算出には、実効的半減期を元に計算されていて、平均的な理論値にすぎないから注意が必要だ。

 東京の金町水道局では、210 Bq/1Kgのヨウ素131を検出した。水道水1リットルで成人なら、210x2.2x10-8Sv=4.62x10-3mSvの被曝となる。乳児だと成人より10倍程度影響が大きいとすると、0.0462mSvの被曝となり、継続して飲用すると問題を生じそうだ。また、甲状腺の等価線量に係る線量係数(乳児,経口 mSv/Bq)は、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する評価指針」(原子力安全委員会、平成13年3月)によれば、1.4×10-4なので、0.0294mSvの被曝となる。ただし、今後、福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出が抑えられれば、ヨウ素131に関しては半減期が8日なので、2週程度で安全基準を下回るかもしれない。「WHO飲料水水質ガイドライン 第3版」(2004年)によれば、生涯飲み続けても安全なヨウ素131の規制水準は、10 Bq/Kg である。

※(参考)物理学的半減期

クリプトン90:32.3秒、キセノン138:14.1分、フッ素18:109.8分、ヨウ素131:8.02日、ポロニウム210:138.4日、セシウム134:2.06年、コバルト60:5.27年、水素3:12.3年、ストロンチウム90: 28.8年、セシウム137:30.0年、ラジウム226:1600年、プルトニウム239:2.4万年、ウラン238:45億年。

※(参考)用語解説

ベクレル(Bq):一秒間あたりの放射崩壊回数(=カウント/秒)。

グレイ(Gy):放射線を浴びる物体が、単位質量当たりに吸収するエネルギー(=J/kg)。

シーベルト(Sv):生体が放射線から受ける影響度合い。→放射線の種類で異なり、吸収線量(グレイ)に、放射線荷重係数を掛けて足し合わせたもの。放射線荷重係数は、β線・γ線は1、α線は20である。

内部被ばくに関する線量換算係数(ICRPが Dose Coefficient(線量係数)という数値を勧告):1Bqを経口あるいは吸入により摂取した人の預託実効線量(単位 Sv/Bq)

※(参考)緊急時に考慮すべき放射性核種に対する実効線量係数(成人,経口摂取:Sv/Bq)

ヨウ素131:2.2×10-8、セシウム134:1.9×10-8、セシウム137:1.3×10-8、ストロンチウム90:2.8×10-8

<2011.3.23追記>

水道水報道が変

 日テレで「乳児のヨウ素131が100Bq/Lという基準はかなり厳しく、乳児が1トン飲んでも健康被害がまったく出ない水準」という東大の中川って何者だろう。公害病の歴史を振り返ってよく考えてみよう。水俣病にしても、広島の原爆病にしても、東大教授は、裁判で被害を認めない側に回って、企業や国から金をもらってきた歴史がある。今回も同じようである。まぁ読売系列は国民の命を軽視するメディアだからと笑っていられない。ほぼ、すべてのメディアが同じことを言っている。本当に調査不足ですねぇ。

 水俣病に関しては、東大助手だった宇井純が被害者側に回ったことは、歴史的に例外中の例外の類である。この結果、彼は万年助手となった。最終的には沖縄大学教授になったが、死ぬまで公害と闘った珍しい人物だ。東大出身で公害被害者の救済についた科学者は、彼を除くとほとんどいない。その反対に「公害と被害者の間に因果関係は認められない」という立場を取り、被害者の人生を迫害した国立大教授や学者は枚挙に暇がなく、その筆頭が東大教授なのである。

 ようするに、東大教授などという看板を信頼するだけ無駄である。内部被曝しているにも関わらず、健康被害なしとは笑ってしまう。そもそも「低線量被曝でもガン死亡リスクが高まる」というアメリカ科学アカデミーの研究もある。まだ科学者間で意見が分かれる一方的な見解だけを報じていいものなのだろうか。これまで都合の悪い意見に関しては、必ず少数派意見でも50%取り上げる傾向にあるマスメディアが、民放、NHKともに口を揃えてこのような事を言うようでは日本のテレビ報道には公正な言論はないらしい。

 無駄に被曝すると、いざ病気の時に放射線を用いた検査によって、より悪影響を蒙ってしまう。検査をした結果、別の病気になったのでは話にならない。実際に、日本の検査被曝量は外国より大きく、癌患者を増やす要因になっていると言われている。放射線医療の専門家が、無駄に被曝してかまわないと主張されると、検査被曝が原因で患者が死んでも揉み消せるシステムでも病院内に存在するのかと疑念が生じてしまう。

 金町浄水場の値の変化は不自然に感じる。15日ごろだったろうか、節電時には電解やオゾン発生装置を抑制して塩素を入れたのか、水道水は塩素臭が強くなった。水への放射能騒動が起こってからは、飲んでいないから分からないが、今回の数値は大幅にオゾン発生装置を稼働した結果ではなかろうかという疑念がある。根拠は放射性物質の降下物の統計と整合性が感じられない点と、酸化作用の有機物・無機物があると半減期が早まるという事が知られているためである。今回の値は特に安全が保障されていない水準でオゾン発生装置を稼働した結果じゃなかろうか。元自民党だし、津波被害者を天罰と切り捨てる都知事のことだから、この辺も安心できない。

東京電力、協力企業に被曝させる

 何で協力企業に働かせる環境で、事前(作業直前)に放射線量の計測をせずに作業させたんでしょうね。無知な若い人間を騙して作業させたとしか思えない内容です。しかし、それにしても民主党は情報がすぐ出てくるなぁ。

<2011.3.24追記>

 異様な保護体制のもと、病院に搬送される作業員を見ると、取材不可能にするためかな。下請けに発言機会を完全に奪ったうえで、東電が「アラームを無視して作業した」という内容を一方的に報道されてもね。そもそも、こういう時は、作業員以外に放射線の安全監視員をつけるべきで、東京電力の社員や役人にはつけるけど、協力企業は自助努力でっていうのは問題が多い。いかにも東京電力の体質を表してますね。

※水道水異変の書き込みをした後で、pH試薬液を持っていたことを思い出した。幸いトイレ用などに溜めた水道水などに日付をつけていたので、検査してみた。一般の水道水は、pH6.8から7.0の範囲におさめるべきなのだが、17日pH6.7、19日pH6.6、20日pH6.6、21日pH6.7、22日pH6.6、24日pH6.4、25日pH6.7ということで、やはり放射性物質が出た時に、塩素をたくさんいれるか、オゾン発生装置を通常の安全運転基準を上回る水準で稼働した可能性がある結果となった。(この試薬で富士山のバナジウム天然水530mlを測るとpH7.0)

都民の命など軽視している石原都知事のやりそうな事である。どうせ本人は、普段、水道水など飲んでいない。パフォーマンスで400ml程度飲んでもねぇ。それこそ健康被害は出ないだろうし、老い先短い人が飲んでもなぁ、せめて都知事の孫かひ孫の乳児が飲めば安心するかもしれないけど。こういう時は私物化しないんでしょうね。

<2011.3.25追記>

天然水いろいろ

※家にあるpH試薬液の結果のまとめ

水道水はその後、変な操作はなくなったかも。28日pH6.8と、ここ数日pH6.8で安定しつつある。ただし、雨が降るとどうなるか分からないから、もう少し様子見しようと思う。一時は手洗いで手が荒れたが、最近はそれほどでもなくなった。

嬬恋の水(2.0l):pH6.8(商品表示は硬度19mg/L))

富士山のバナジウム天然水(530ml):pH7.0(商品表示は硬度29mg/L,軟水)

宝喜の水(2.0l):pH7.1(温泉水、カタログ表示はpH8.1、硬度54.1mg/L)

硬度は、mg/Lの場合、アメリカ硬度で事実上の世界標準の模様。WHOの硬度による水の分類は以下の通り。

軟水:0 - 60未満

中程度の軟水(中硬水):60 - 120未満

硬水:120 - 180未満

非常な硬水:180以上

<2011.3.28追記>

Kazari