これまでマスメディアがミスリードもしくは間違った処方箋を推奨した事例集
今回の二重ローンについて全国銀行協会と政府が結託して作成する債務奴隷案
そもそも二重ローンの問題は、銀行が担保を過重に取るとか、担保を市場価格で売却した金額が借金額に満たない場合、その金額も返済義務を課すとかいう銀行優遇政策を日本が取っていることに由来する。
企業の借り入れの場合は、多くの先進国が同じかもしれないが、住宅ローンに関しては日本が銀行に過度な保護を与えている。だから、アメリカもこの住宅ローンで日本市場に参入して、ボロ儲けできているわけだ。アメリカの方が厳しいから、当然、アメリカが日本に求める経済政策には含まれない。今後、外圧とやらで改善される見込みはまったくない。アメリカでは、消費者がどんなに多額の住宅ローンを組んでも、債務が滞った際に、担保を取られる以上の債務が発生することはない。担保となる住居を明渡せばいいだけ。貯蓄があれば、そこから返済を迫られるなんてことはないから、アメリカでこうした災害が起これば、住宅ローンに関しては二重ローンの問題が生じない。つまり住居を市場価格で販売しても借金額に満たない場合のリスクは、はじめから銀行側の担当になっている。
実はこの制度が、姉歯事件で問題になった建築基準の監査に役立っている。担保価値に満たない物件を建築業者が建築すれば、最終的にその付けは銀行にしわ寄せされるためである。財務省は国民の利益よりも、銀行優遇して天下ることしか考えていないし、マスコミもほとんど指摘しないので、いまだにこの制度を改めることができない。
そもそも債権者連合側で救済案を考えること自体がおかしい。
<2011.7.17記>
熱中症とペットボトル症候群
これまで、日本では熱中症は湿度が高いほど危険と言われている。科学的根拠は湿度が高いほうが汗をかきにくいし、熱を放出しにくいという点から来ているらしい。しかしながら、タイで生活したことがあると、これ自体が医者の誤解ではないかと感じる。熱中症には脱水症状も含まれる病症であるが、タイでは発汗してもすぐに蒸発してしまうから、油断して給水を怠るとあっという間に意識が朦朧となる。私自身、そういう経験がある。つまり、湿度に関わらず、熱中症対策の基本は同じである。年齢や体格に応じて、気温が高い場合は、一定時間に一定量の給水を行うということである。
熱中症対策の報道では、なぜか徹底してガイドラインとなる数値が出てこない。「こまめに給水、塩分も補給」と曖昧語に終始している。なぜ、年齢、性別、体重別などに、給水量のガイドラインがないのか不思議である。私のタイでの生活経験では、8-17時くらいに歩く場合、給水量(食事を除く)1日2.3リットルとして、3時間に750mlの水(塩分含まない)を補給することを常にしていた。水の補給を一回忘れただけで頭が痛くなるなどの症状が出るが、塩分補給をしなくても問題が出たことはない。タイでは発汗後すぐに蒸発するので、発汗後の不愉快さはまったくなく、症状が出るまでのどの渇きを感じることもあまりない。日本の医者は海外生活経験に乏しく、乾燥しているとのどに渇きを感じるはずだと勘違いしているのかもしれない。更にアフリカくらいに日中40度くらい熱くなると、早足で歩くこと自体が危険になる。日本の熱中症報道を見ていると、本当に遅れていると感ぜざるを得ない。熱中症対策入門みたいな書物にすら書かれていないのは問題が多い。あまりに暑い日には運動自体を控える必要があるのだ。
ペットボトル症候群にいたってはピロリ菌よりひどい煽り報道である。まず、「短時間に大量の糖分を摂取しないように心がけろ」など、こちらも曖昧語に終始している。脅し文句自体も「これまでより数倍患者が出ている」といつと比較したのか、日本国中で何人くらいいるのか全く報道されない悪質な報道がほとんどであった。一度だけ1回の給水時(30分間)に糖質100g以上とか数値が出たこともあるが、糖尿病などの慢性疾患を抱える人がという前提付きであった。いったいどれだけ対象者がいるのかも明確に分からないし、数値の方も根拠となるものは検索で出てこない水準の煽り報道である。清涼飲料水ケトーシス(ペットボトル症候群)について調べると、多くは若年肥満男性の2型糖尿病などが分かるが、その事自体がきちんとテレビ報道されていなかった。そもそも熱中症対策で塩分補給を過度に報道しすぎた結果の反映に思える。タイでの生活体験から、熱中症対策の水分補給は歩行程度なら、たいていは水だけで大丈夫なはずだ。スポーツを行う場合などはスポーツドリンクなどが有効だろう。ペットボトル症候群に対する報道自体が、過度に広告主スポーツドリンクメーカへおもねる偏向報道をした反省から来ているのかもしれないが、きめの細かいガイドラインを正確に報道するのをサボるマスメディアの体質がもたらした人災の一種である。
<2011.8.18記>
2011.7.12 汚染牛肉チェックすり抜け流通
毎日新聞の愚劣な記事。「1kgあたり2000ベクレルの放射性セシウムの汚染量であれば、毎日1kg食べ続けると年間約4ミリシーベルトの被ばく線量になる」というのがデマです。誰でも計算できるのだから計算すればいいじゃない。2000Bqに一般成人による放射性核種の摂取に関する線量換算係数をかけて365倍すればいいのです。この場合、浴びる放射線量合計は、セシウム137の場合は、2000Bq*0.013μSv/Bq=26μSv、これを365回だから365*26=9490μSv。セシウム134の場合は、2000Bq*0.019μSv/Bq=38μSv、これを365回だから365*38=13870μSv。この計算に用いた一般成人の摂取に関する線量換算係数は、WHOはじめ多くの国際機関が用いている係数です。
実際は、セシウム134と137はだいたい半々くらい計測されるので、(9490+13870)/2=11680μSvくらい内部被ばくする羽目になる。セシウム137に関しては、生物的半減期が70〜100日、1年目の内部被ばく線量を少なくするために、半減期を多めに見積もって100日として計算すると、100*26/2=1300μSvの部分は、1年経過後に被ばくする部分とざっくり見積もれる。つまりどんなに過少に見積もっても、年間内部被ばく線量の合計は、9490-1300=8360μSv=8.36mSv(ミリシーベルト)となる。つまり、セシウム137の最小見積もりで、年間約8ミリシーベルトの内部被ばくです。実際には、2000Bqセシウムを含む肉を1年間毎日1kg食べると、生涯で12ミリシーベルト内部被ばくする羽目になるから、かなり危険である。こういうデマ記事書いているから馬鹿にされるんだよ、毎日新聞。誰の言葉であっても嘘は駄目です。ちなみに笠井篤(元日本原子力研究所研究室長)らしいが、こんな計算ミスするかね、普通。
この記事では全頭検査は困難とも報じていますが、次々と全頭検査に踏み切ったことからもデマだったことがわかるというものです。
7.18には、汚染牛肉437kg販売で、4350Bq/Kg、3710Bq/Kgの牛肉が流通と報道された。7.25は原発復旧作業で東電社員が率先して、危険地帯で作業したと提灯記事を書いている。一番厳しい作業は下請け作業員任せというNHKの取材報道と真反対の内容である。これまでの経験ではNHK側の報道が真実であろう。8.2の毎日の社説では、原子力政策は厳しいリスク管理さえすれば、原子力発電所を再稼動すべきだという立場らしい。厳しいリスク管理をすれば、再稼動できる発電所がこの世に存在できるはずがない。どんなに今の技術を駆使しても最終処分場におくる核廃棄物があり、そのリスクをゼロにすることは不可能なためである。確か他の日の社説で脱原発の道筋を示すとか抜かしていた。毎日新聞には論理性をもって社説を書く能力がそもそもないらしい。
<2011.8.18記>
ごめんなさい。少し計算ミスをしました。
「半減期を多めに見積もって100日として計算すると、100*26/2=1300μSvの部分は、1年経過後に被ばくする部分とざっくり見積もれる。」というのはちょっと過少すぎました。最後の100日が1300+650=1950μSv、その前の100日が650+325=975、その前が325+163=485くらい1年後に内部ひばくすることになるから、大ざっぱに見れば、最初の一年目の内部ひばく合計は、9490-1950-975-485=6080μSv=6.08mSv(ミリシーベルト)くらいです。
一番問題なのは、生涯に内部被ばくする線量ではなく、1年だけ切り取って過少に見せるという統計操作をしている点が許しがたいことを付け加えておきます。
<2011.9.1追記>
計測法関連
肉や魚ほどひどくはないが、東京の空気線量の測定地点が地上18mというのも何のためかさっぱり分からない。平均的に地上18m地点の空気で生活している東京人などいないだろう。人間が地上で吸う羽目になる放射線量より低くなる地点でわざわざ計測することには悪意を感じる。
TV報道で一瞬映像が出た測定法の冊子には、γ(ガンマ)線測定法について書かれているものだった。今回、魚介類は、頭部、骨、内臓は食用でないと政府が勝手に判断して、そもそも放射線検査の対象ですらない。どの程度の大きさから測らないのか判然としないが、かまぼこの原材料たらなどには骨なども含まれている。今回の測定法では、頭部、骨、内臓をはずす中型魚のはずだが、もちろん、蒲鉾は食用される。実際には、食用になる部分をはずして計測する意味は全く分からない。医療品やサプリメントに至ってはすべての部位を使うし、原材料は企業秘密なので今後は非常に心配だ。
米についても玄米状にした部分だけである。糠(ぬか)はどうするのだろう。糠漬けなどに利用されているだが、・・・。小麦などのふすまも問屋にいけば売っているし、食用されている。真面目に政府が対応する気がないと言っているも同然である。糠やふすまの部分は、これまでは飼料に使われたりしたものだ。家畜なら何を食わせてもいいのか。低濃度汚染の飼料も止めないと日本全国に汚染を広げる結果になる。政府はこういう経路で放射性物質をまき散らし、日本全国の平均的なガン発生率自体を引き上げることで、補償問題を切り抜けようという悪意があるのだろう。
重要なのは、γ線をどんなに調べてもストロンチウム90は測れないことである。測る意思がそもそもないらしい。つまり、セシウムによりガン発生率が上がるより、ストロンチム90によって骨髄腫の発生確率が上がるのが5倍近く確実であり、白血病との因果関係も強固だから、ストロンチム90以外であれば、国民を騙せると思っているのだろう。この辺り、イタイイタイ病の頃と何ら進歩がみられない。そもそもまともに計測していないのに、ストロンチウム90は(計測していないではなく)計測されていないと発表するのって大本営発表と同じだろう。それを垂れ流すマスコミも同罪である。ストロンチウム90に関する計測事例があるのなら、計測時、地点、線量をすべて公開すべきである。
<2011.9.6追記>
※最近の蒲鉾の製法などによれば、どうやっているのかは知らないが、機械で魚の頭部、骨、内臓は取り除くとあった。吉田勉[編](1999)「新食品加工学」医歯薬出版による。昔、工場をテレビで映していたのを見た記憶では、食味に影響しない小骨などはミンチにしてしまうやり方しか印象に残っていなかった。技術進歩していたなら私のミスである。
上記本を読んで、内臓にあたる、白子、たらこ、すじこ、いくらは検査対象になっているのか気になった。ちなみに平成14年段階で厚生労働省が「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」という報告書をまとめている。この通り、計測しているように見えないのはなぜだろう。それに9年前の報告書に即した行動が取れるように体制整備されている様子がひとつもなく、新たな委員会でこの報告書と同じ内容を決めたのはなぜかもよく分からない。国家公務員がお得意の仕事しているふり、無駄な予算消化をしたかったのかな。
<2011.9.18追記>