また法治国家から一歩後退した東京地裁の判決
本来なら、検察調書のほとんどを無効とした時点で、検察側の事件の立件には不備があるとして裁判自体を拒否して終了しても何の問題もない裁判である。日本が法治国家であるというのであれば、そうすべきであった。
裁判所が検察の調査の不備を補って捜査をし判断するというのなら、そもそも検察自体が不要な機関であることを裁判官が証明したことになる。これは裁判官による権力乱用に相当する。私は日本の法治国家制度を維持するために、この裁判官を免職させる必要があると思う。
まさか地裁とはいえ、裁判所までは冤罪の片棒を担ぐような真似をするとは思わなかった。今回の事件は、いかにグレーでも、刑法の推定無罪の原則から白とすべき裁判である。
2011.9.27の東京新聞は、極論である「政治資金規正法の趣旨に即した判決」という上脇博之神戸学院大大学院教授の意見を、元検事の落合洋司弁護士の「時代逆戻りの判決」と対峙させているが、情報操作もはなはだしい。普通の一般論と極論を併記するのは情報操作以外の何物でもない。新聞各社が、法治国家の大前提を無視してでも、財界の利害を代弁して小沢叩きに没頭するとは嘆かわしい。
もし、上脇の主張が正しいなら、適正な会計報告並びに税申告に違反した大企業の経営者および経理担当者を悉く刑務所にぶち込まなければならなくなる。見解上の相違で違約金を払えば無罪放免とする現行の税法と、なぜこれほどの差が必要なのだろうか。国家を欺いてでも税を逃れようとした行為も法の趣旨からいえば、厳正に対応するべきで、悪質なら即実刑なら、現在の日本の経営陣はほぼ総退出していただけそうだ。
<2011.10.18>