ゼロ点な野田首相の所信表明(2011.9.14)
円高投機容認と受け取られる内容
こんな事を所信表明で発言していたとは。所信表明は英語で全世界に配信されてしまうため、これで日本が、更なる円高にあっても介入しない、財務省寄りの首相自らの介入失敗の敗北宣言だと受け取られるだろう。「円高メリットを活用して、日本企業による海外企業の買収や資源権益の獲得を支援します」とのたまわっている。さすが松下政経塾。ここの出身者は経済音痴が多い。こんなおバカな発言すれば、70円切るところまで圧力がかかってしまう。
無駄な「復興庁」設立を明言
国土交通省を改名して、災害対策・復興省などにすればいいのだけの話だ。国土交通の名を残したいのなら、長くなるが「災害対策・復興のための国土交通省」とすればいい。組織内の改組で十分対応できなければおかしい。国土交通省は、もともと災害に強い国土・交通システムを築くための省庁であるから、大規模災害にも国土交通省内で処理できないのは問題が多い。名を変えれば具体的な責任が生じるから、まじめにお役人は働いてくれます。復興関連で国土交通省は仕事せざる得ないのだから、無駄なダム建設の出鱈目な数字作りは止めさせたらどうか。そんな暇があるなら、復興計画作れといいたい。
9.14時点の演説で「大気や土壌、海水への放射性物質の放出を確実に食い止めることに全力を注ぎ」
って事は、5月末に止まったとされる海水への放出も漏れ漏れし続けているという証拠を政府が把握しているということですかね。
「国際的な視点にたって事故原因を究明し、情報公開と予防策を徹底します」
民主党の野田は自民党の谷垣なみに原子力推進派ですな。廃炉に向けた道筋ではなく、予防策という事は再稼働を前提にした言葉だ。呆れてものも言えなくなる。
しかも、その後、選ばれた事故調査委員会は責任追及しないと明言するおバカ学者ときたもんだ。政治家として政治をやる気がない人だね、野田は。黒塗り報告書はなぜ全文公開しないのかね。パブリックオピニオンを求める原発関連にしても、第三者員会に出した電気料金に関する積算の内訳の詳細な資料もすべて公開すべきだ。地域独占なんだから、企業機密に相当する会計情報なんてある訳ないだろ。真面目に所信表面通りに、情報公開程度は行え。
「風評被害によって、故なく廃業に追い込まれた中小企業の方々」
ここまで東電寄りに、国会で堂々とデマを述べられると寒気を覚える。政治家以前の問題で、人間として野田には欠陥があるのではなかろうか。今回、廃業に追い込まれた狭山茶の会社にしても、東電の放射性物質の汚染という科学的根拠にもとづく廃業である。首相が積極的に「東電に賠償をまじめにさせる気がない旨」を所信表明で発言するとは厚顔無恥さだけはお持ちのようだ。馬鹿につける薬はないということか。
「「原子力安全庁」を創設して」
庁が必要かねぇ。無駄な予算になるのが目に見えている。エネルギー庁の原子力関係を解体して、環境省に原子力廃炉局を作れば予算も削減できるし、安全対策も十分なはずだ。
「「新成長戦略」の実現を加速して」
円高の不利益を是正するにはいろいろな方法がある。円高を享受できるのが、主として富裕層なので、低所得層への所得再分配を行い、消費を促し、国内景気を加速させる。景気が回復すれば、富裕層にも給与面で恩恵が得られる。「一時的に」富裕層の税負担が増えるだけの政策を実施する方法で、これはケインズ以来、多くの成功事例があるにもかかわらず、政治家や高級官僚が(国力落としてでも)いちゃもんに近い理由をつけて行わない政策のひとつになりつつある。これを行うべきと主張していたのは、小沢という政治家(マスメディアや一部右翼に追い落とされかけている)や、正統派の国家主義者である亀井くらいである。もうひとつは、企業が労働者にきちんと報酬を払う法体制を整えることでも実現可能だ。
野田は馬鹿だから、アメリカに増税を求めないだろうし、アメリカのオバマの政策を見ると、日本と同じく20年不況の道を歩んでいる。いま世界経済を安定させるには、アメリカが主体となって、協調増税(累進税もしくは資産課税)を行うことが一番良薬になる。
<2011.10.20>