コンプガチャで垣間見える日本の法律専門家の低質性
まず総論として
まず、NHKで擁護派の人がとんでもない主張をしていたので、いくつか批判しておこう。成長企業のすることは、産業として、できる限り暖かく成長を見守るべきと主張していたが、論理的に正しくない。例え、中近東の政府の管理が及ばない自由市場で、武器の売買が盛んになっていても、武器がバンバン売れるように「できる限り暖かく成長を見守るべき」ということは社会的に正しくない。先進国である時期、風俗産業が成長産業でも、「できる限り暖かく成長を見守るべき」ということは同様に、社会的に正しくない。こういう「勝てば官軍」式の間違った論理構成で、非社会的活動を行う企業を正当化するのはいい加減に止めるべきだ。
最近のNHKアナウンサーはとても低質だから、こういう議論に疑問を差し挟めない。その事も嘆かわしいが、霊感商法を批判し社会派として著名な弁護士の紀藤正樹が、まともな反論をしてなかったのは不思議である。
景品表示法への抵触?
コンプガチャはコンプリートするのに、数百万円かかるという。この段階で、私なら、商品内容を偽って、普通のゲームを装って、高額の賭博行為を行わせたと法解釈すべき事例と判断する。コンプガチャを商売にした事業者には、詐欺罪ならびに賭博及び富くじに関する罪に問うべきだ。それを景品表示法の違反とするからには、よっぽど事業者に警察や法務省の天下りでもいたのかと呆れる他ない。ただでさえ、10代から事業の25%も売上を得ているのは、社会的に問題が多い。
また、擁護派の人物がこのビジネスモデルを世界に輸出すべきだと言っていたが、これもとんでもないことだ。公害の輸出に相当し、日本の外交力が落ちるので、国内で企業活動を停止させる方が社会的に好ましい。もしアメリカに輸出し合法的に営業できたとしても、即座に集団訴訟で敗訴し会社が破産するのは目に見えている。ヨーロッパでは合法になりそうもないが、開発途上国を騙せばいいと考えているなら、とんでもないことだ。こうした評論家風情がNHKに出入りできること自体、問題が多い。
ネット上には「射幸心をあおる」という文言だけ独り歩きさせて、パチンコと同じとする見解があるが、パチンコって、数百万円を短期間に出費する人いるかなぁ、しかも低年齢層に。確率の公表性が担保にされない闇パチンコみたいなのは普通に賭博法に違反したとして摘発されるから、同等と言えるかは疑問だ。ただパチンコは駅前に多くあるので、排出する換気には最低限規制をかけてほしい。周囲を歩く子供の間接喫煙になっているからだ。コンプガチャの低年齢層の高額出費を伴う悪質性はパチンコと同等とは言えないだろう。他の意見として、ネットゲームなどに対する18歳以下への課金禁止も良い考えであるが、そういう主張につながる法の背景には賭博性が必要だろう。天下りを狙ってみたいな発言も多いが、今回に限って言えば再三注意喚起しても止めずにいるので、悪質だからと公表に踏み切ったという手順を踏んでいる。そして、今回は賭博や詐欺などより法的責任の軽い景品表示法の違反を消費者庁が発表しているから、よほど警察や法務省の天下りは抱えていたのかと思うわけだ。
経団連などは、下層階級が賭博行為にふけって、上流階級の維持固定化につながることを基本的に良しとしているので、違法すれすれなら大いにやればいいとの立場だろう。こういう詐欺行為で稼ぐようなビジネス・モデルを自浄できないから、今の日本の経済は成長できないのだ。
<2012.5.22>