デモ報道の考察 〜 基本的な統計を解説しなくなったメディア
主催者側17万人、警察発表7万5千人
こういう書き方や報道がほとんどだが、無意味な書き方の典型である。警察はデモ行進に参加した人を定点で観察した数字を積算して発表している。今回のデモ行進で言えば2つのルートがあるから、2か所の積算数字のはずだ。実際に16日の集会に行ったので、一か所は判明している。原宿交差点の横断歩道橋の上で、カウントしている警察官2名がいた。横目で観察したが、かなりいい加減なカウントの仕方だ。一方主催者は、デモ集会に参加した人数を発表している。私もこの「さよなら原発10万人集会」に参加したが、過去の経験から推察すると、今回の集会への参加者は16〜25万人といった感じであった。主催者側の数字は妥当な水準だ。
一方、警察発表は、過少推計になる嫌いがある。デモ行進に途中から参加する人は完全に無視している。カウント自体もいいかげんである。デモ行進自体に参加した人としても、だいたい8割程度と感じることが多い。また、今回のデモ行進では、警察の誘導が悪く、特に原宿交差点で行進者が少人数しか渡れないために、デモ行進への参加者の待ち列が1時間以上の状態になっていた。これは警察がデモ行進者を減らすための手段として、たびたび使うものである。猛暑日でもあったため、3時ごろから、デモ行進に参加することなく帰宅するデモ集会参加者を、明治神宮で多数、目にした。
3時ごろ、号外を配っていたのは、赤旗くらいであった。原子力関係の書籍を販売するブースの人はその号外を見て、こんな風に載るのかと紙面を覗いていた。広告掲載を依頼されたと言っていた。
報道関係者が歩道橋で立ち止まっていたので、この日の原宿の歩道橋は非常に歩きにくい状態になっていた。4時ごろ、別のイベント客がこの歩道橋を利用する際にも、警官が立ち止まらないように誘導することはなく、人数がいる割にだらけた感じが滲み出ていた。
正確に書くなら、デモ集会参加者17万人(主催者発表)、デモ行進参加者7万5千人(警察発表)ということである。更に言うなら、デモ行進参加者7万5千人(警察発表)は最低でも7万5千人いたということで、実際は9万人程度、交通規制を厳格にしていたなら10万人以上になったであろう。
<2012.7.17>
警察発表が過少推計になる理由は、いい加減なカウントの仕方以外にも思い当たる点がある。デモ行進終着点の出口でも、同様にカウントしている場合、おそらく少ない数字の方を発表しているためであろうと推察する。昔は、暇な公安がデモ行進参加者をビデオ録画していて、これは公的権力の乱用ではないかと思うのだが、憲法に保障されている集会の自由に反する不正な行政権の行使を断じる報道機関は日本には存在しないらしい。
<2012.8.2>