時事批評

時事批評選択に戻る

南海トラフにまつわる胡散臭さ

なぜ太平洋ベルト?

 私が必要な公共投資をして、国土を守れと言ったのは、過去100年程度に洪水被害にあっていて、今回東北震災で被災した地域についてである。数万年に一度の大地震についてではない。今回、南海トラフだけ異常に大地震・大津波を想定した被害報告が出たことは誠に嘆かわしい。

 これまで、経団連は、何度が太平洋ベルト地帯に関して自民党を恫喝した事がある。正確なテレビ番組名などは忘却したが、石油コンビナートなどの老朽化が激しく、政府が支援しないととんでもないことになるとマスゴミを通じて脅すようなテレビ番組であった。この要請に応じて動いた自民党議員もいたろうが、大方は冷淡で、効果がなかった。今回の南海トラフを言い訳に大企業が設備投資の償却を目指して運動でもして、天下りが欲しい官僚が詰まらない情報操作をしたのではないかと思う。都の直下地震などに比べ不自然極まりないからでもある。

 相模トラフの地震予想の失敗を鑑みると、まったく真面目に考えるべき案件と思わない。群発地震など発生してから考えればいい問題である。

一方、都の直下地震での被害予想の甘さ

 東京都では、火災被害を甘く見過ぎているように思う。現在の住居が各所で発生すると、ビル風などによって類焼する危険だけではなく、火災により発生する有毒ガスの方も懸念材料となるからである。現在の難燃性住居が火災になった場合に出る有毒ガスは、水に浸したタオル程度で、どの程度防げるのか検証したんだろうか?

 いずれにしても不祥事だらけの警察官僚の予算を削って、消防団員を増やしておいた方がよくないだろうか。あるいは緊急時の消防団を都会で組めるように、大企業内に消防組織を置くことすら考えた方がいいのではないか。

 今回の震災を機に、災害指定道路を金持ちが逃げるときに使って、緊急車両の妨害をしても違法でないように法改正したが、この後に及んで、改悪する意味が分からない。

<2012.9.18>

 1万年くらいを視座に入れていいなら、大地震などより大きな天変地異が起きている。例えば海水面の上昇である。wikipediaなど多くの書物に書かれているが、「6000年前までの約1万年間にも、間氷期開始に伴う100m近い海面上昇が発生している」。このような1万年間に100mとして計算しても年10mmというのは大変な問題である。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書(2007年)によれば、20世紀を通じて世界を平均した海面水位は1年あたり1.7±0.5(信頼度90%の範囲を±を付記した数値で示したもの)の割合で上昇した。1980年以降で見ても3.2mm程度に過ぎないから、大地震よりもこちらの方が、はるかに深刻な懸念材料だ。2007年にこの報告書をまともに報道したテレビや新聞はなかったはずである。

 こうした内容について手っ取り早く知るために便利なのは、気象庁の総合診断表の頁である。気象庁の報告書の中に、海水面の長期動向をまとめた部分は、こちらのPDFが便利だ。

 古代文明として知られているエジプトですら、文字のできた時期がせいぜい紀元前4000年程度だから、6000年前までしか遡れない。それ以前の文明はいまだによく分かっていない。したがって、この6000年前以前の約1万年間にかけて、川下や海外付近で栄えた文明があったとしたら沈んだことになり、海底に遺跡が存在することになる。発掘調査は海底のため進んでいないが、これまでに、インドや沖縄などで海底に遺跡が発見されている。

<2012.9.20>

Kazari