時事批評

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安倍政権の経済政策にまつわるデマ

金融緩和にまつわるデマ

 一番効果がある金融緩和は、財務省が日銀券を増刷することです。

 国債の日銀引き受けは、小泉政権の時も行われていますが、効果がありませんでした。償還日の近い国債に偏っていたとの指摘はありますが、10年国債をダイレクトに引き受けさせることは、日銀の独立性にとっても健全な金融政策にとってもよくありません。日銀のバランスシートを悪化させ、将来の借金を増やし、その財源で、財務省並びに自民党が無駄な予算を組めば、それこそ財政破綻につながる由々しき問題です。

 それからデフレが止まらないのは、日銀券を増刷しない中、アメリカが一方的にドルの増刷を行い、アメリカの金融緩和の規模の方が、(GDP比ベースでみても)日銀より大きいからです。

アメリカの金融緩和にまつわるデマ

 財務省と自民党などに都合が悪い P.Krugman らのポスト・ケインジアンの経済政策を捻じ曲げて伝える勢力が日本には多数存在しますが、経済については専門外でITの知識もあやしい池田信夫などもその一人です。

 頭の悪い右派系の人は P.Krugman が日本には「輪転機を回せ」と金融政策を提言したのに、自国では財政出動を論じて変節していると事実に基づかない批判をよく行っています。日本とアメリカの財政・金融政策の違いを意図的に無視して、論理を飛躍させているのですが、事実を書いておきます。

 日本銀行には、日銀券の増刷の権限はなく、日本の財務省と日本の議会(国会)にその権限があります。根源的な金融緩和である「日銀券の増刷」は、Krugmanが日本に「輪転機を回せ(=日銀券を増刷しろ)」と政策提言して以来、一度も増刷はされていません。一方、アメリカでは、ドルの増刷を大量に行った結果、景気回復はしていませんが、デフレにはなりませんでした。その煽りで、もちろん名目為替レートはドル安円高になりました。

 米国ではドルの増刷を行い、FRBは金融緩和も日銀なみに行いましたが、日本と同様に、アメリカ議会は財政出動を行いませんでした。景気が回復しないので、Krugmanは、「増刷したのに効果が足りないから、財政出動を」といっているのです。極めて当たり前の経済政策提言です。

 この提言順序になるのは理由があります。日本でもアメリカでも、供給サイドの経済学を信奉する勢力が強く、その人たちが金融政策だけで景気浮揚できると主張しているからです。日本では、伊藤元重、岩田規久男、竹中平蔵などですが、どうもこうした事実を無視して言論操作するのは感心しません。ちゃんとアメリカとの政策の違いを俎上にのせて、真摯な議論に努めるべきです。

安倍の経済政策は無責任だ

 私は安倍の政策が小泉政策の復活である以上、その効果も同じと考えてよいと思ってます。国民の99%の人にとって実質ゼロ成長、せいぜいピークの実質GDP成長率2%、格差の更なる拡大、人種偏見や対外危機のあおり報道、自殺の増大(増大しない場合は警察統計の操作)、借金の増大、年金問題などの先送り(もしくは弱者切り捨て)などです。

 特に将来世代に借金の増大を負担させることにつながる日銀の国債引き受けには、違和感があります。また、マクロ経済の安定に一番の責任を負うべきなのは財務省です。ようは、自民党国会議員と財務省が結託して、「自己の行為の責任を日銀に責任転嫁したい」という見え見えの責任転嫁政策が、日銀の国債引き受けなのです。

 財務省の人間が日銀より劣るのは歴然たる事実とはいえ、このやり方には賛成いたしかねます。もし、そこまでいうなら、財務省は何について責任があるのか、明瞭にすべきでしょう。国債管理もできない、予算の均衡化もできない。会計院に指摘された氷山の一角にすぎない会計上の無駄な予算も5年も10年も放置し改善できない。ならば、財務省解体が一番の経済政策につながるはずです。

 それに一番やるべきなのは経済政策ではなく、復興です。東北復興の足を引っ張り続けた安倍晋三ひきいる自民党は、最優先課題は経済政策だと言っています。

考えられる要因

 つまり、マスメディアは、自民党政権だと巨額の機密費をもらえる上に、経済界から就職先を確保してもらえるから、事実無根のニュースを流すのだろう。こういう連中はひとしく豚箱にぶち込んでほしいものである。

<2012.12.21>

Kazari