無能な感染症後進国 日本の功罪
PCR検査は増やせないと情報操作
日本はこれまで観光立国を目指していたわりに、感染症対策を怠ってきた。最低限度の病床の増加しか行っていない。東京でいえば、新宿区にある国立国際医療センター、都立の多摩総合医療センター程度しかない。いずれもSARS以降、10病床程度を各々増加させたに過ぎない。
3.11以降の選挙戦において、さかんに自公政党は自らのリスク管理能力を誇示してきた。われわれが政権を担えば安心であると嘘をついてきた。
今回の感染症にしても、専門家の間で繰り返し警鐘が鳴らされてきた内容に過ぎないが、「未曽有の」だの、「想定外」だのリスク管理を自負する人が使うべきではない言葉が溢れ始めている。
安倍長期政権は、特に国立感染症研究所の予算も増やしておらず、完全に感染症に対するリスク管理を怠けていた政権と断じることができる。また、厚生労働省は、これまで、共産党が指摘するように、公立病院の統廃合を進めており、リスク管理よりも効率性を重視してきてきた。そして、新型コロナの感染拡大を受けても、その統廃合の基本方針は捨てないと国会答弁しているのである。
日本では、こうしたやり取りが国会生中継を除いて、不思議なくらいにニュースで報道されない。TV、新聞をはじめとするマスメディアが国民の知る権利を本当に重んじているとは到底思えない。
また、感染症対策は予算がかかる割に利益を出すのが難しいことから、これまで日本医師会は、協力的に対応してこなかった。効率重視すれば、安全な予防医療に特化すればそれは、国民ではなく、医師が「安全に」金儲けできるのだろう。
しかし、本来は、救命医療、緊急外来、小児科の外科専門病院、産婦人科医などを増加させる必要があった。こうした数量調整についても日本医師会は非協力で、儲けの多い審美歯科や歯科技工士を増やしてきた。国民の命を守る医師の育成には積極的ではなかったのである。
最近、GacktのようなPOPシンガーを使って、政府批判するべきではないとか言い始めたり、マスメディアは醜悪の限りを尽くしているが、政策批判が的確に行われなければ、民主主義は滅ぶし、今後の日本の将来は危ぶまれることにしかならない。
2月の段階で、自衛隊駐屯地に新型コロナ専用病院を設営し、PCR検査数を数万にあげていれば、現時点のような困難な局面に陥ることはなかっただろう。そもそも医師の育成にしても、お門違い、見当違いの政策ばかりである。
産婦人科医は増えないし、小児外科の医師も増えない。小児外科で才能あるものは日本で活躍の場がなく、海外に人材が流れている。まさに、政策転換が必要な分野であるが、安倍は、友達の獣医学部増設にご執心で、国民の命など言動とは裏腹に関心がないのである。きっと富裕層のペットの医療費を下げる方が自分の支持層に都合がよいのだろう。
安倍の初期対応を見ていれば、新型コロナによって、インフルエンザ程度の死亡者がでても構わないという対応であったことは明白である。ご丁寧に閣議や会議の議事録を作らないという証拠隠滅を図りながら、新型コロナ対策をしていることからも、やましいことがあるのだろうと想定できる。
初期対応には日米英ともに同じ誤りがあった。こうした日米英の無責任な対応が世界経済に大きな負担を課したことは特筆に値する。しかし、米英がすでに政策転換しているのに、日本ではその劣化コピーの政策すら十分に行わない後手後手の対応に終始しているのはどうしたものなのだろうか。
これまで、感染症が流行るたびにグローバル経済ではこうしたリスクが格段に跳ね上がると言われてきた。WHOをはじめとしてそのことは繰り返し警鐘が鳴らされてきた。
事前にある程度の準備をした韓国やドイツと大きな差が出ていることには猛省を促さねばならない。日本の医療水準というか、医師の水準はドイツと比べ極めて低く、ドイツの制度を模倣しようとすれば、日本版ホームドクターの育成に20年程度を有する。医療の水準で互角なものがあるとしたら、検査機器とその操作方法くらいじゃないかな。現在、開業医にかかりつけ医の名称を与えたところで、能力に雲泥の差があるのだから、ドイツのように機能するはずもないことは確かである。馬鹿でもできそうな日本版「かかりつけ医」制度にしても、大分県くらいしか真面目に取り組んでいない。
2世の医者だらけの日本では、医師会の反対もあり、容易に「かかりつけ医」制度すら実現しないだろうが、ここらで医師会の性根を叩きなおしておかないと、憲法で保障されている最低限の医療すらままならなくなる恐れがあることは指摘しておきたい。
何もしなければ日本の新型コロナによる死者数は42万人というデマ
さてずいぶん甘い見込みが発表された。重症者は85万人となり、重症者の約49%が死ぬとの報告があるので、約42万人が死ぬことになるそうだ。日本はアメリカよりも人口密度が高いが、何もしなければアメリカでは最大220万人の死者がでるとしたのと比べると、ずいぶんと自信があるようだ。
そもそもクラスターを潰していけば、集団感染を防げるというおとぎ話に付き合わされて、意味不明な予測モデルの結果を信じろというより、PCR検査で実数の感染数予測を出した方がいいでしょう。
なぜ特定エリアのPCR検査を諸外国のようにやらないのか、理由はいまだ不明である。これまで医師会が、PCR検査を増加させる体制を整えてこなかったのは、国の責任もあるが、医師会にも責任がある。医療崩壊を盾に、国民の命を軽視する立場をとるのは、説得力がない。
もちろん現場の医師は命がけで懸命に戦ってくれているのだろう。24病院から診療拒否にあったり、6時間待たされる救急患者が報道されても、医療現場の医師は懸命に命を救おうと努力していると信じたいが、なぜ、こうなるのかな。
さて、アメリカの死亡者予想モデルを詳細に調べてないが、簡単に死亡率(=死亡者数/感染者数)3.4%として、死者220万人の推計を逆算してみる。アメリカの人口は3.29億人だが、そのうち、6470万人が感染した場合にあたる。感染率(=感染者数/人口)は約20%である。
これを日本に当てはめると、感染者数約2500万人(人口1億2686万人)、死者数85万人となる。アメリカの死者150万人の場合は220万人の68%として計算できる。その場合、日本の比推計は感染者数約1700万人、死者数57万人となる。
CDCのシナリオは感染者数の割に、死亡率が異様に低く、ドイツ並みなのでほぼ信用できない。日本の数字もこれに類するもの、何も対策をせずに感染爆発を起こすとしながら、医療崩壊はおきないような死亡率のままと仮定していて、たぶん、詳しい予測モデルは公開されていないが、死亡率固定なんだろうなと想像はつく。CDCシナリオでは20-170万人が死亡し、死亡率は0.数%の水準、現在のニューヨークを見ても絵空事というのがはっきりしている。
CDCシナリオの紹介記事に、日本に当てはめたものがWebにあるようなのでこちらは省略する。ちなみにニューヨークの4月6日時点の死者数は4159人、感染者数12万2000人なので、死亡率は3.4%(=4159/122000)である。
クラスターを潰せばというおとぎ話が崩壊した後で、クラスターに基づく予測モデルが当たる理由が皆目思いつかない。そもそも経済にせよ、予測モデルの精度は極めて低い。まして、感染症の実績のない予測モデルに何の意味があるのかよく分からない。警鐘の鳴らし方としても不適切な印象が否めない。
BCG予防接種が効いているというデマ
それが事実なら死亡者のグラフ作ったときに特定年齢層(1951年)以降は、全員BCG予防接種を受けているのだから、その層だけ他国より屈折するでしょう。そんなことは報告されていないので、この手の仮説は間違いと即断できますよ。
単純にPCR検査を拒んでいることから、老衰にカウントされているなどの可能性が高いというだけの話です。でなければ、葬式でクラスターも説明つかないよ。日本はうまくやっているとの心象操作を試みてこれ以上、深手を負いたくないです。
<2020.4.15>