エコポイント制度より優れた政策をまず法案にしよう
まず前回のエコポイントの検証を
前回の政策を支持する提灯報道は、テレビや新聞で幅広くキャンペーンが行われた。自民党が実施した家電業界に対する補助金バラマキ政策である。すべての所得層、特に高額所得層にも有利な前回の「エコポイント制度」は、テレビをブラウン管から液晶に変える際に、大幅に大型化したり、販売員が複数台設置をすれば割引したりと電力需要を喚起する反エコ政策であった。
そもそも何もしなくても、デジタルテレビにしなければ、テレビが見られなくなるという勘違いから買い替え需要が相当に起きる時期に実施している前回の政策効果を言う際に、産業連関表を使ってGDP押上げ効果を金額で評価すること自体が間違っている。しかし、そうした内容をテレビや新聞は垂れ流した。非常に悪質な情報操作に相当する。間抜けな安住のような議員も政策効果があったとか寝ぼけたことを言っていたはずだ。テレビや新聞の広告主に、家電業界が如何に寄与していようが、放送倫理に違反するもので、許されるべき報道ではない。特にニュース報道した機関は厳粛に反省すべきである。NHKはじめ、全滅だったと記憶している。
前回のエコポイント制度の政策効果を見る場合、まず、第一に何もしなくても起きたテレビの買い替え需要で産業連関表を利用したGDP押上げ効果を計測する。第二に補助金額自身(テレビ)のGDP押上げ効果とその累積効果(乗数効果)を計測する。この2つを合わせたものを比較対象として、エコポイント制度がらみのテレビの分だけの産業連関表を利用したGDP押上げ効果を計測する。これでテレビに関して差分がどれだけあるのかが焦点となる。なければテレビに関しては失策である。景気対策として微々たるプラス効果があったとしても、エコ政策としては完全な失策と断言できる。エコポイント制度の実施前後で家庭の電力需要が落ちていないためだ。
他の機器の場合、エアコンならその業界に直接補助金を出した場合と、今回の場合でどちらが政策効果があったか比較しないとあまり意味がない。
LEDのエコポイントより職場の照明の最大輝度の規制を法案にしよう
現在、職場における照明の最小輝度に関しては規制がある。しかし、職場における照明の最大輝度に関しては規制がない。だから、「ぱぱす」のようなドラッグストアやコンビニでは気分が悪くなるほど明るいのである。最近の研究では、夜間に高い輝度を浴び続けると睡眠障害を起こすことが明らかになってきている。法的規制の根拠はあるわけだ。これをエコにつなげればいい。昼間でも晴れの日の外より明るくする意義は乏しい。労働者や購買者の身体に悪影響を及ぼすような無駄な電力消費はいらないはずだ。
節電で分かった事は、特に商業施設や小売り業界では、これまで輝度を上げると消費が増えるという迷信があって、やたら明るくし過ぎてきたということだ。そして薄暗い照明でも、百貨店ではかえって落ち着いた趣があって良かったりした。輝度が明るいと売れるというのは、電力会社が仕掛けた提灯研究なのではないかと思う。
<2011.9.7>