首都移転などバカげた無駄遣いではなく、国民目線の省庁再編を実施しよう
日本には、土砂災害、津波、地震、噴火のない安全地帯はない
9.19の前の関連法案にも少し書いたが、現在の国際情勢を見ると、環境省に費用をかけても、それに見合う国益や国際的な名声は得られない。日本の企業連合自体が京都議定書に違反する勢いであるし、排出権込みで目標達成しても発展途上国から反発を受けることは間違いがない。それをODAなどで封殺しても日本の国益につながる状況にない。ならば、長期展望として必要最小限の環境省の機能は環境庁に残せばいいだろう。日本の企業連合が反対する環境問題の取り組みに関しては、長期的に解決していかなくてはならない。そのためには、おかしな業界利益を誘導する様々な社団法人を廃止させる必要も出てくるだろう。これについての指摘は次回行いたい。
現在の環境問題が温暖化ではないと主張する学者がいたところで、異常気象の増加がまったくないという人を私は知らない。数年前まで、専門家組織である「気候変動に関するパネル」がニュース報道に登場することなど考えられなかったが、異常気象の増大に関しては全世界的な合意が見られると思う。アメリカには、日本と違い災害対策専門の省庁、連邦緊急事態管理庁(FEMA)がある。日本は地震大国な割に同等の機関すらない。明らかに立ち遅れている。今回の台風12号でも降り始めからの総雨量が800mmと予測されていた時点で、気象庁任せにせず、日本政府が率先して避難勧告を出すべきだろう。米国なら完全に非常事態宣言が出されているはずだ。マスメディアの対応も最悪で、その後の400mmの首都圏直撃の台風15号を台風12号より大々的に報道するという顰蹙ものであり、更に、その首都圏企業の対応もお粗末で、帰宅難民が再び大量に出る有様だった。読売系で、3.11の教訓が今回の台風に生かされていたと情報歪曲を行っていたことが際立っていた。責任官庁がないことで、行政の責任もいまだに曖昧なままである。
したがって京都議定書にもとづく環境問題よりも、異常気象の結果もたらされる災害(台風、竜巻、洪水、高波)対策に取り組む方が喫緊の課題である。私自身、完全なグランド・デザインができているわけではないが、必要のない部門の統廃合は企業なら数年おきに実施する。日本の政府も柔軟に対応できるような仕組み作りは、常に考えておかねばならない。日本の自然災害には地震、津波、噴火もあり、更に二次災害として原発事故や企業の火災なども考慮しなければならない。従来考えられていたより、包括的な取り組みが必要になっている。
今回の12号、15号への台風の対応を見ていても、政府ならびに国の行政の責任主体が明確でないために、役人が働かないのだと思う。責任省庁に勤め、出世に影響するとなれば、もっとまじめに取り組んでいただろう。
日本の明るい未来に必要な省庁再編
人員の少ない政府、生活が安定する国作りを目指す省庁再編として、次のような組織改編をしてはいかがだろうか。人員削減は中・長期的目標で、一人も減らさず短期的に財団法人化することは意義に乏しいので、そのような事態は想定していない。現在の財務省の内閣府乗っ取り具合を鑑みると、財務省は分割しない限り、日本の明るい未来は展望できない。
- 財務省の分割 → 4割を歳出省、5割を歳入省へ(優秀な人材は歳入省)
- 厚生労働省の分割 → 医療部門(1割削減)は現文科省、それ以外(2割削減)で国民生活省へ
- 環境省の格下げ → 6割環境庁へ、2割は国民生活省へ
- 総務省の公害等調整委員会(二重行政)の廃止 → 環境庁へ
- 法務省の公安調査庁の格下げ → 局で十分
- 内閣府の消費者庁の廃止 → 国民生活省へ8割組み入れ(2割人員削減)
- 国土交通省の廃止 → 災害対策省へ、交通、国土開発部門より人員削減
- 国土交通省の観光庁(二重行政)の廃止 → 経済産業省へ
- 文部科学省は改名 → 科学技術省へ、教育庁の創設。文化庁は教育庁内の局で十分。教育部門を2割人員削減(∵ゆとり教育の失敗)
- 文部科学省の地震調査研究推進本部 → 災害対策省へ
- 経済産業省の資源エネルギー庁は廃止 → 8割を災害対策省へ
- 経済産業省の貿易経済協力局(二重行政)は廃止 → 外務省へ
- 経済産業省の産業技術環境局(二重行政)は廃止 → 科学技術省へ
- 防衛省 → 不手際が多いので2割人員削減、少数精鋭化
- 外務省 → 不手際が多いので2割人員削減
大使館の邦人保護専門部員を職務にする。一部の人員を海外広報活動へ - 防衛,外務省 → 同数ずつだして外務・防衛公共事業部(宿舎などを共同で発注)を作る
- 防衛,外務省以外のすべての省 → 公共事業庁を作り、省庁の公共事業(官庁及び設備の建築、宿舎の建築)を一元的に行う(競争入札促進の一環)
- 国民生活省の創設 → 貧困・自殺対策局、就労支援局は必要不可欠(庁でもよい)。
歳入省にすると、歳入が減った責任は明確になる。マクロ経済安定政策が失敗すれば、その責任は歳入省というわけだ。予算削減の努力は歳出省の責任になる。両方あると、責任の擦り合いで言い逃れしてしまう傾向を生む。ただでさえ、財務省と内閣府が結託して、景気はすべて日銀のせいと言い逃れする有様には寒気を覚える。高級官僚としての誇りは無きに等しいので、1割人員削減は最低必要である。歳出省には少し日銀から有能な人材を分けてもらった方がいいかもしれない。歳出省全部を内閣府の予算室に入れることも考えられる。
上記に競争入札促進の一環と書いたが、現行のように省庁別に競争入札すると、省庁別に売上高規制だの、その省庁の事業の受注業績の優遇などが実施されているため、実質的な新規参入障壁、大手企業の優遇措置が横行する。官僚というのは、制度の細かい部分、分かりにくい所を工夫して、天下り先を増やしていくわけだ。こうした事が少しでもできないように全部一括して公共事業発注ルールを決めさせると、少なくとも、相互乗り入れによる分だけは競争が促進される。したがって、事前に、より増額した売上高規制とかは禁止にしておく必要がある。各省庁別に規格統一されていない提出書類を統一する必要もある。宿舎などの規格も統一すべきだ。
お役所の名前は、その責任の所在が明確になる名称が望ましい。消費者庁のような腑抜けた名称では、国民から見て、役人が何に対する責任があるのか明瞭に伝わらない。他にも、こうしたふざけた名称は多々ある。雇用保険(正確な中身は失業給付保険)、ハローワーク(実質的な意味合いは就業支援対策室)、これらの職員が職務に励んでいるかどうかが利用者に分かりにくいような名称にするというのは、役人の責任逃れ体質をよく表している。利用者の声を反映しているというのはデマに近い。失業という名称が悪いのではなく、失業者を社会的に差別するお役人目線の方に問題がある。役人には差別がないが、社会にあるというのなら、社会の差別観を取り除くことも、役人の職務である。
国民生活省には、総務省からも一部機能移転した方がいいだろう。貧困の削減、自殺の減少、就労支援という活動するだけで業務統計による結果が出るような組織再編をすれば、出世のために役人も真面目に働きやすくなる。国益=省益になるので、現在、国益重視派がゼロでも、国益重視派を政治で作り出すことができる。
関連法案
実際に災害に強い国土を作っていく過程で避けて通れないのは、土地買収に関する問題である。資本主義の発達の背景に、私有財産制があったのは事実だが、何が何でも私有できるようにする必要性はない。土地に関して言うと猛烈に抗議する阿呆がいるものだが、勝手に私有できない物は世の中にたくさんある。
枚挙にいとまがないので、数例で我慢するが、現在の日本では、国、海、川、軍隊、武器、富士山の一部などを勝手に私有することはできない。また、都市国家では、土地の使用権だけですませている国もある。だから災害対策が必要な土地に対しては、同等の土地(所有者にとって地価、利用便益など上回る代替地)を提示して、収納できるように、法制を整備する必要がある。
統廃合しても影響の少ない(天下り先減少)関連法人など
外務省の所管特例民法法人一覧を見ていたら、真面目にここに書く気力を失った。財団法人や社団法人化しているのなら、いまや所管にしている意味もない。どうしても所管を残したいというなら、1個だけ研究機関を選ぶなり、統廃合するなりすればいい。下記には一部官庁の独立行政法人の分しか書いていません。
- 経産省の日本貿易保険、日本貿易振興機構 → 統合、人員5割削減
- 経産省の経済産業研究所 → 統合、内閣府の下に経済系研究機関が一個あれば十分。他は民間を使えばいい。
- 経産省の原子力安全基盤機構 文科省の日本原子力研究開発機構 → 廃止
- 文科省の日本学生支援機構 → 有償ローンの廃止、無償で運営できないなら存在意義に乏しい。有償ローンの延滞金が民間より厳しい。延滞金のルールは即時廃止、もう少し別の方途を考えるべきだ。そもそも有償ローンをたくさん出した責任が日本学生支援機構にはある。職員が解雇できるからいったん破綻させて、新たに作り直した方がいいかもしれない。
<2011.9.23記, 24追記>