放射性物質に汚染された食品の安全対策
NHKでは、消費者がアクセスできない機関の検査とトレーザビリティでお茶を濁す
現実には、早急に全食品に関して簡易な全数調査を行い、基準値以内を含めてその数値を商品表示するように義務付けるのが、一番の良策になる。前提には、価格下落分は東電の補償範囲になるのは当然だ。ここで経済学を勉強した者が、東電の補償範囲を狭めて考えるのは馬鹿らしいものだ。特に、市場経済万能主義者が消費者の行動を勝手に風評のように決めつけるのは傲慢以外の何物でもない。なぜ市場万能主義者どもは、この時だけは消費者が愚民と決めつけているのだ。
通常時に「体内被曝は少なければ少ないほどいい」という科学的見地がある限り、この科学的事実を「風評」に覆えすことは許されない。
実際には、現在の牛のトレーザビリティも内臓や骨は範囲外
NHKには強引な情報操作が多いが、今回、食肉の放射性物質の問題が起きた時にトレーザビリティが威力を発揮したみたいな情報操作をするのはいかがなものかと思う。そもそも、こうした肉が流通した背景には、農水省の無責任な対応があったことはすでに報道されている。しかも内臓はトレーザビリティの対象外だから、焼き肉ホルモン店ですでに消費済みと、ホルモンに関しては役立たずという事も判明している。スープをつくる骨付近も全滅である。食品以外でも、化粧品やサプリメントや薬に利用されていれば、識別番号が付いていないからどうすることもできない。確かにトレーザビリティはあった方がいい。しかし、これに関しても偽装を防ぐ手段とはならない。だから、国民生活省みたいな機関があって、韓国のユッケ調査のように、小売店の抜き打ち調査をする以外に手だてはない。そのためには、そもそも放射線量の商品表示がないと、それが不正表示かどうかが問えない。つまり、検疫や検査には、その前提となる商品表示がないと難しいから、それを阻止したいのだろう。総合的な対策なく、信頼回復の努力なども、今回の農水省の対応を見ていると、不可能ではないかとすら思えてくる。
特に、NHKの深夜放送で、矢口真里などが出演する番組で知ったかぶりの男が、露骨な政府擁護と東電擁護をする情報操作はとても気持ちが悪い。善良なる市民は悪しき情報操作の弊害に合わないために見ないように。
はやくも主婦運動の封じ込めの動き
一部、「お母さん革命」などと称することで、運動の鎮火を目指した動きがすでに起こっているが、今回の主婦の運動は、革命といえるほどの動きをまだもたらしてはいない。「安全のための確認のための検査」に消極的だった自治体を転換させつつある程度である。それも、柏市の土壌の放射能汚染はそら恐ろしい水準(毎時57.5マイクロシーベルト)であったことも影響している。その土壌の上で生活したら年500ミリシーベルト水準(503.7=57.5*24*375/1000)の汚染って。また、民間の独自調査によって、政府がひた隠しにするストロンチウム90が神奈川県で検出されたことは、国民を暗澹たる気持ちにさせる。政府自らがすでに持っているはずのストロンチウム90の汚染マップを公表する圧力をかけねばならない。
また革命とは程遠いが、主婦層の粘り強い問い合わせによって、あらゆる商品表示が詳細になってきている。典型的なのは、せんべいなどのお菓子類の材料の国表記。これまで企業機密と公表を嫌がっていた内容だけに、比率は示していないものの、産地表示はできたんだと唖然とした。最近、消費者の「数は力なり」を身を以て感じた出来事のひとつである。商品の包装袋は大量注文しているが、その在庫がなくなりやすい商品から切り替わっていっているように思う。問い合わせが少ないうちは企業機密と無下にできたが、問い合わせが多いと面倒だから商品パッケージの変更をしているわけだ。その他にも、製造固有番号と地名のついた工場名を表示した商品も増え始めている。紙パックのコーヒー牛乳などに見られる。
電気料金で賄い、東電寄りの情報を流すシンクタンク電力中央研究所も解体を迫らねばならない。なぜ電力会社は電力中央研究所に給付金を払うのか、自分の電気料金は不正に高いのではないかと問い合わせるのがいいかもしれない。電力中央研究所の役員には、メディア各社が名を連ねており(NHKや読売、朝日、毎日とほぼ全滅)、更に官僚の天下りもある。そのため、日本の原子力行政の転換には、「子供の命を脅かす」として政治運動に進展させない限り、安全な生活は保障される見込みが全くない。実際の所、配電設備は粗利が5割なんて報道もあるから、それがもし事実なら電気料金は2割引き下げても、現在想定しているくらいの賠償補償なら捻出できてしまうだろう。1000円値上げなどの数値は東電機関の作った神話やデマの類に過ぎない。もし事実というのなら、算定の根拠になる数字を全部開示させればいい。運動の一環として、政府に詳細な東電の経営情報を開示させ、それを小出氏などの検証してもらう必要がある。
第三者委員会など名付ければ聞こえがいいが、所詮、あの程度の提言しかできないから、電力の素人がいくら経営資料みてもなぁという印象しか起きない。別の提言で指摘した日本有数の人材が一人も採用されていないところを見ても、政府の腰抜け具合が分かるというものである。もし、本当に緑の党ができるなら、これを最大与党にしなければならない。その時は、河野も小沢も亀井も緑の党に鞍替えしてくんないかな。
放射性物質食品を摂取してしまった場合の医療保障のために
これだけ広範囲に広がっていると、関東ではもはや汚染物質をすべて避けるのは難しい苛立たしい状況になっている。体内被曝、体外被曝してしまう市民は、せめて癌や骨髄腫や白血病になった際に、東電ならびに政府に医療費など賠償させるために、「髪の毛を取っておく」、「乳幼児の抜けた歯」も取っておくなどの措置を取るべきだろう(裁判所の再検査用、DNA鑑定用と少し多めに保存する必要がありそうだ)。専門家の記事で目にしたのは毛と歯だけだが、爪も役に立つかもしれない。特にストロンチウム90は骨にたまる性質があるため、白血病、骨髄腫で死亡してしまった場合などには、火葬前に公正証書を取るように第三者立会いの下、本人の歯や骨を検査機関で検査してもらうといいだろう。ストロンチウム90の生物学的半減期は18年と長いので、99%減るまでに108年程度かかり、生存中にゼロになることは見込めない。
海外産は安全という馬鹿らしさ
狂牛病の時も見られたが、こういう時に海外産が安全というのは意味がない。チェルノブイリ原発の事故の影響下にあるフランスも、ドイツも、日本の安全基準より緩い(だいたい1000Bq/kg)。実際に小出氏の本によれば、日本の輸入規制をかい潜って日本市場に出回っていた放射性物質に汚染された海外食品などが記されているが、それを見ても安全と言える根拠はない。近年でもチェルノブイリの影響が大きかった地域からの食料品について、愛知県などで規制に引っ掛かった食品が報告されている。実際の輸入検疫は、チェルノブイリ事故の影響下にある国が原産国である製品しかサンプル調査されていない。原産国というだけで、その原産国で、どこの国の食材を使ったかまでは分からない。商品表示義務がないためである。だから、多くがすり抜けて流通している可能性は現在でも否定できない。ちなみに小出氏の本には、厚生省の肩書をもつ人間が「事故米を飢えるよりはましな途上国に食用として輸出しようと思うが、どう思うか」と聞かれたことがあると書いている。
アメリカも原子力実験をしまくった国だし、その実験地の農産物をマクドナルドや輸出用に回したという報道もある。いまだに米国軍人の被ばくは切り捨てだし、ビキニ環礁にいた住民の健康被害にも長年無補償を貫き通した非人道的な国である。基準もだいたいが1000Bq/kgと日本より緩い。すでに日本の死因のトップになる悪性腫瘍(がん)は、高齢化だけで説明できない水準である。がん患者が増える背景には、放射能汚染だけではないが、化学薬品や放射能に汚染された食料品を食べさせられている現況に問題があるという警鐘ではないだろうか。(かつてあらゆる年代で乳がん検査が促進されたが、現在では40代以前に乳がん検査をし過ぎると、かえって放射性がんを誘発することが知られている。米国ではこの時の被害者に対しても外科的治療を施して、補償はゼロなのである。検査被ばくによる癌は日本では真面目に報道されることが少ない。)
それまで、20Bq/kgだったタイも日本に脅迫されたらしく、日本の水準を受け入れる決定をしてしまった。これで安全と言える場所は見当たらなくなってしまった。現在の諸外国の日本の輸出入規制は、2011.10.25日の情報として、農林水産省に掲載されている。
<2011.10.26>
※政府が規定した福島の避難区域の基準放射線量は年間20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルトに相当)という報道があるが、室内にいる時間で割り引いている模様。この比率で計算すると毎時57.5マイクロシーベルトの年間放射線量は約300ミリシーベルト(302.6=20*57.5/3.8)になる。