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公務員改革3:人員削減でなく、給与減額でまず2割削減しよう

人員削減は、官僚の高給と引き換えに官製ワーキングプーアしか生み出さない

 官僚の人員削減を政策目標にすると、例えば国では監獄の刑務官などが民営化される。つまり、官僚が一番責任を負うべきところを外部委託する形で安く上げようとする。制度改革を利用して、官僚にとって一石二鳥を狙うわけだ。地方公務員では、徴税員が外部委託、給食費の滞納者や国民健康保険の滞納者の回収員が外部委託される。本当に言語道断なのだが、こうした事を批判することがマスメディアになくなっているのも問題である。

 徴税と刑務官の類は、公務員が行うべきサービスの最たるものであるが、危険を伴う業務ほど外部に民営化されているのが実態なのだ。その言い訳に、人員削減が利用されている。だから、2つのことを同時に行う必要がある。外部委託禁止業務を作ることと、公務員の給与金額合計(福祉を含む)を、一人当たり労働者賃金水準に連動させることである。特に福祉政策が進まないのは、官僚が何不自由ない生活を恣にして、国民の賃金水準の低下をまるで味わっていないからでもある。

 つまり、物価でなく、国民の労働者平均賃金水準に合わせて、公務員の給与総額を低下させる法案を可決するということである。公務員がバブル以後、全く調整が行われていない現状をかんがみ、猶予期間を含めて、今後バブル破裂以前の水準から現在に至る低下幅を段階的に引き下げることが望ましい。こうすれば、財務省に責任あるマクロ経済運営を行わせることにもつながるし、労働者平均賃金水準の向上に役立たない利権あさりをすれば、かえって国家公務員の給与が下がることになるので、まじめに労働賃金が上がる政策を取るよう誘因をもたせることができる。一番官僚を困らせる法案はこの法案だ。いままで何故、経済学者が誰一人として提言していないのかが真に奇妙奇怪である。

<2012.2.17>

 2.17の記事の後、低能なテレビ番組で、東京都下の市での徴税の様子が報道された。差し押さえなどは当然、地方公務員が行っているのかもしれないが、その間の徴収業務は督促状だけではない。テレビ報道は督促状だけみたいな報道だったが、それなら職務怠慢としか言いようがない。この回収員が23区ではほとんど外部委託職員化している。普通に区報の職員募集に出ているので明らかだ。テレビ局ごときが、地方自治体と結託して、つまらない情報操作をするんじゃねーよ。

 番組の内容も阿保らしいものだった。1000万近くの税の滞納に対して、貴金属程度では、集計しても数十万である。家や土地の差し押さえをしない限り、意味がない水準の滞納に非常に怠慢な対応と言わざるを得ない。税収を上げたうえで、生活保護に回すのが、公務員の一番の仕事だろう。その逆をやってどうするのだ。この提灯番組をみても、地方公務員の行政権は、徴税に関しては乱用されない傾向にあるのがはっきりしている。その一方で、生活保護に関しては行政権の乱用が横行し、ついこの間も餓死者を出した。特に、その報道は劣悪で、地方公務員が「生活保護は要請主義」「用紙を渡した」という生活保護課側の言い分だけを垂れ流し報道したものだった。遺品を調査した警察などの裏も取らずに、人道性のかけらも見られない、血も涙もないとはまさにこういう報道姿勢である。餓死した場合のように、障碍者が生活保護申請に来たのなら、「用紙を渡した」「要請主義」というのは説明如何で、いくらでも申請妨害できる。実際に北九州市で妨害があり、社会問題になった。そういう事例があるにもかかわらず、相変わらず事実も確認せずに、報道するテレビの取材態度に疑問を感じる。こういうずさんな報道は報道倫理に反するが、その反省が今のテレビなどのマスメディアには見られない。

<2012.2.21>

Kazari