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選挙制度改革は国民投票で決めさせよう

叩かれないと正論を出さないマスメディア

 そもそも論を最近よく書く羽目になっている。マスメディアがだらしないからだが、いい加減、言われる前に正せよと言いたい。選挙制度の改革というのは、そもそも国民投票によって決めるべき性質のものである。それを震災のどさくさに変えようという政治家の根性は全くねじ曲がりすぎていてどうしようもない。

 それに死票(小選挙区などで第二番目候補以降の票がまったく選挙結果に反映されない票を指してこのように呼ぶ)をなくしたいなら、全国比例代表制にすればいい。全国比例代表制でも、国民が特定の党の特定の人物を選べるようにできる。党が用意した名簿ではなく、得票順に当選させればいいからだ。

 確か、前回の選挙制度改革では、小選挙区に変えれば、二大政党制が実現し、その結果、多数決で議決がどんどん通るので、制度改革が進むと政治家も学者もマスメディアも主張していた。この主張自体、議会制民主主義の形骸化や否定にもつながるので、馬鹿げた利点だと思ったが、実際はどうだったのかという事は見ておかねばならない。自民党が衆院も参院も過半数を超えていた小泉政権時に、小泉改革と称して通った法案は、数こそ確かに多かったが、その中には多くの悪法が含まれていた。そして、一番重要な年金に関する法案は先送りされ、どうでもいいアメリカのための郵政法案が通ったりした。つまり馬鹿な政治家でもできる二大政党制が実現して、ほぼ一党で多数派を形成できても、重要法案は先送りされた。まともな政治は行えなかった結果となっている。

 その後、小泉の改悪に嫌気がさした国民はねじれ国会を選択し、法案はまったく通らなくなった。その時の政治状況は、中選挙区の時と変わらなかった。つまり、小選挙区で実現するはずの利点は、政治家や学者やマスメディアの建前の主張とは裏腹にことごとくはずれたことになる。その一方で、利権政治や政官民癒着はますます激しくなり、公務員の利権は守られ、政治家はまともな国会審議をサボタージュし、一部上場企業にだけ減税措置が集中するようなあさましい状況が生まれた。それは震災後の財政難の現在であっても、ほとんど変化していない。

 もし、政党政治をするなら、小選挙区を廃止して全国比例代表制度にする方が理論的にすぐれているが、きちんとそういう報道をする番組、新聞は現在でも少なく、ほとんどが民主党が議論している案だけを比較して、論じる底の浅い内容のものである。比例代表の欠点がねじれ国会と同じなら、比例代表による少数乱立政党によって、国会で議論を尽くすのが、議会制民主主義の常道ではないのかと改めて思う。

 この政官民で議論をさぼって、二大政党制に拘った理由は、今となっては、各々の自己権益の追及が可能だったからという理由以外に思い当たらない。団塊世代のバブル追求と原理が同じで気持ち悪い。

<2012.2.18>

 現在、憲法改正に必要になる国民投票法(2007年可決、2010年5月18日施行)はできているが、憲法改正が必要ない事項で、国民に信を問う必要な政治課題についての国民投票手続きに関する法律はできていない。憲法改正に関しては、現行の議員数2/3の賛成で問題ない。しかし、憲法ではなく、原子力政策や投票制度に関しては、議員数過半数の賛成程度で、国民投票を行えるようにする必要がある。必要なら、議会解散時選挙時に、特に必要な政策課題については、国民の意見を聞く制度があってもいいと思う。愚民化政策ばかり推進してきた自民党は反対するだろうから、現状では、民主党政権が実現するべき政策課題だろう。

 現行の憲法改正に必要な国民投票も、日弁連などが主張するように、何らかの代表制基準を入れる必要がある。例えば、日弁連は、投票率40%以上としている。wikipediaなどは、無投票は他人への委任だとする屁理屈で、日弁連基準を批判している。私なら、投票に行かない者の票を他人への委任とは見做さないが、そのような批判を防ぐために、次のような制度を提案する。第一に、国民投票の投票欄には、憲法改正の賛成と反対の他に、委任の表明を含む形式に変更する。第二に、(委任を含む)有権者数の50%以上の改正賛成を必要とする規定に変更する。第三に、無投票者は委任の意思表示をしない者として罰則金規定を設けることを提案する。第三の規定を入れる利点は、無投票者の罰金徴収を行うことで投票券未配達に対する問題が顕在化することがあげられる。

<2012.2.24>

Kazari