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被災地国家公務員派遣法を制定しよう

 書評に書いたが、本山の本を読んで、阪神淡路大震災後、中央官僚、地方自治職員ともに着実な進歩がまるでないことを知った。そこで、自衛隊や消防団員を除く中央官僚を、被災地に被災後翌日には任務につかせることができるように、特例法を作っておく必要を感じた。現地に入らないから、中央東京で踏ん反り返って、要請主義などととぼけたことをのたまうのだと思う。復興庁を作ってから現地に派遣すると、一年後に不要な人員を送って、かえって迷惑なだけと思える。戦後最大規模の震災を前に、かたつむりのような復興支援状況を見るにつけ、中央官僚には現地で仕事をさせる必要があると考えるわけだ。

 今回の震災でも非常事態宣言を出して、震災2か月後とかライフラインが確保できた時点で、復興拠点となる都市に、政治家、内閣府、国会ごと仮引っ越しして、復興策を講じても良かったくらいである。

 さすがに、菅直人も原発に関してはまともに振る舞い、東電の無責任極まりない福島第一原発からの撤退を阻止し、浜岡原発を止めたまでは良かったが、その後の復興に関する経済政策は冴えなかった。仮設住宅の建設は多少時期が遅れても、すべて被災地雇用で賄うのが原則として、努力すべきだった。そうすれば簡単に水道が凍結するようなものを建築したかどうか。そうは言っても中央官僚の鈍さには呆れるばかりだ。

 震災規模に合わせて、自衛隊や消防団員を除く、中央官僚の1割程度が、震災後すぐにでも行政支援に入れる派遣法を制定するべきだと思う。政治家が国会の承認を経て、国土交通省などの中央官僚や、被災地外の地方自治職員を被災地に派遣する権限をもたせる法案である。

<2012.3.17>

 これを書いた後で、森永卓郎が現段階でも国会の福島移転が原発の安全性のアピールになって良いと勘違いはなはだしい愚論をテレビで述べていた。現段階で福島に国会を移転する意義はない。安全性のアピールのために、巨大な公共事業費をかける意義もない。現段階で移転の意義があるとすれば、原子力安全委員会の本部と、東京電力の本社を福島の第一原発にほど近い地点に移転させることである。東京電力は半官半民の会社だから、必要な法整備さえすれば、実現可能だ。原発の安全性を訴えたいなら、東電の歴代原子力担当者並びに経済産業省の歴代原子力担当官、ならびに現在の原発問題担当大臣の家族が、福島第一原発の安全境界の周辺に住民として暮らせば、良いアピールになるだろう。本来なら、東電歴代原子力担当者や国の原子力発電の担当官を裁判にかけて、個人資産を賠償に充てたうえで、代替地として福島第一原発付近の土地を与えてやるのが良いように思うが、自主的に移動すれば、東電の補償を求めて移転を望む住民に対しても、土地建物の買い手としての即効性があるから、法的責任は後回しでも良い。森永は真面目に被災地のためになることを提言すべきだ。

 その森永卓郎がテレビ出演時に、もうひとつデマを言っていたので批判しておく。彼は昨年夏のように今夏の電車などで節電を行えば、障碍者がバリアフリー設備を利用できないかのような発言をしていた。事実に反するし、普通に障碍者を名乗れないくたびれたサラリーマンがエスカレーターを利用したいだろうからと言って、デマを言ってはいけない。また、目の悪い人は照明を落とすと云々とも言っていたが、いずれも事前に駅などに電話しておけば、障碍者には駅入り口から職員が対応してくれるので問題は生じない。都電ではエスカレーターを止めた駅もあるが、エレベーターは全部動いていたはずで、障碍者が節電の犠牲になることは昨年夏でもほとんどなかったはずだ。評論家風情はまともな調査をせずに適当な事を言って目立とうとするが、最近はデマの類を話す阿呆が本当に多くなった。

<2012.4.15>

Kazari