PC雑記

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SII DB-J260 by Franklin (秋月電子通商で5000円なので買ってみる)

 発売開始(open価格:発売当初2-3万円)の当初は全く購買意欲をそそらない商品だったが、まぁここまで値段が下がればよいかと思い、先日購入した。辞書端末だけを目的とするなら、英語辞書が Readers Plus でないと私の要求する水準を満たさないから、使い物にならない。しかし、うまくいけば、SDカード経由で所持している英語辞書を変換して使えるかもしれないし、読書端末としてよいかもと思った。安いタブレット端末とかも大分実用になりそうだし、便利になりつつある気がするが、外出先で本格的に使うには、バッテリーの持ちが少なすぎる印象がまだ残っている。

 辞書は、prcという拡張子のファイル形式で収録されている。DB-J260 の主な特徴はSDカード経由で、prcとmobiという拡張子のファイル形式を読めるため、読書用の端末として使える他、辞書もついているという感じである。仕様書によれば、連続使用は60時間。問題は、この両ファイル形式ともフランスで開発され、開発が遅々として進まず、現在のソフトの方もWeb上で中途半端にしか提供されていない点にある。書籍端末としては、情報も kindle の方が多い。現在、添付されているCD-ROMに入っていた Mobipocket Reader for Franklin の version は、5.1 Build 550である。他に英書50冊(約10MB)が入っている。

 白黒16階調の画面320x240ドットで、SDカード(最大2GBまで)にしか対応していない。SDカード2GBもいつまで低価格で入手可能か分からないので、メディアを複数買っておいて、買わないといけない商品かもしれない(本体は生産終了品)。本体の辞書は、ジーニアス英和大辞典、ジーニアス和英辞典、英会話とっさのひとこと辞典、オックスフォード現代英英辞典、メリアム・ウェブスター・カレッジ英英辞典、フランクリン英英類語辞典、広辞苑、逆引き広辞苑、漢字源、パーソナルカタカナ語辞典、類語例解辞典とチュートリアルの必要最小限といった構成である。一応、電卓と4つの英語ゲームなども収録されているが、あまり使い物にならない水準のものだ。

 USB1.1でつないで、本体を見ると、本体側には2つの領域がある。ひとつは、My Handheldで、その容量はほぼ満杯状態(初期状態で 160MB、空き容量 208KB)であった。もうひとつは、My Stuffという領域で、63.8MBの容量が空の状態で、使えるようになっている。見落としていたが、フォーマット済みのSDカードを本体に挿していれば、My Cardが表示された。つまり、SDカードと本体があれば、カードリーダーの類は必要がないモデルである。マニュアルなどによれば、USBから電源供給できるようなので、PCとのやり取りには、本体と付属のUSBケーブルさえあればいいと理解していたが、最初に電源を入れるのに電池がいるようで、全く電池不要でつながる訳ではないらしい。

 本体も、CD-ROMを使わずに、Windows 7 (64bit)が自動的にデバイスとして認識した。エクスプローラーでファイルをコピーできるから、最初に本体側の辞書の Backup を取った。本体側の辞書は付属CD-ROMに未収録だが、辞書のprcには著作権保護機能がかけられていて、複写した辞書が表示できるわけではない。本体の辞書ファイルが何らかの原因で壊れても、Backupしておいたファイルを本体に戻せば直るかもという時のためのものである。

 本体側の領域にMy stuffという63.8MBの空き領域があるが、ここは本体が読みかけの情報などをmbpファイルで保存する領域なので、ここに辞書などを複写しすぎると、フリーズや端末速度の低下が懸念される。ここは使わない方が無難だろう。長年使用して、速度が落ちたら逆にこうした情報の消去すら必要かもしれない。1KB のファイルを作るだけだから、自分の使うファイル数から逆算して、必要な容量だけ開けておけば十分かもしれないが、SDカードにゆとりがあるなら、こちらを優先すべきである。ちなみにリセットボタンを押すと、My stuffの領域は、sysrw.envを除いて消えたので、少なくとも mbpファイルは初期化で消える仕様らしい。

 Windows 7 (64bit)搭載のPCとDB-J206本体をUSB(1.1)ケーブルで接続すれば、エクスプロラーからは見えるが、付属ソフトのMobipocket Reader for Franklin 5.1 からは、認識や通信はできなかった。Windows 2000 や XP用のソフトだから、XPにインストールしたら見れるかもしれない。面倒だからXP実機で試す予定はないが、VM Player上から、Windows 2000を起動し、Mobipocket Reader for Franklin 5.1 をインストールしてみた。USB機器を接続の設定に変更してから、メニューバーの表示の再更新を選ぶと、DB-J260を認識するものの、通信機能は使えなかった。

 現在は、Mobipocket の Web頁から Mobipocket Reader のバージョン 6.2がダウンロードできず、Mobipocket Creater 4.2 がダウンロードできるのみである。付属CD-ROM の Mobipocket Reader for Franklin 5.1 は、Windows 7 (64bit) で推奨する設定でインストールし直せばインストールとファイルの表示はできるようになった。さらに、起動のショートカットのプロパティの互換性をWindows 2000に、"管理者権限で実行"にしておけば良いようだ。Creater 4.2 の.msi は、普通にインストールできた。どちらも32bitソフトだから、設定の変更はしておいた方が無難そうだ。

 両者を使っていくと、Creater 4.2 が画像付のPDF、HTMLの変換時に画像の取り込みに失敗するので、Mobipocket Reader for Franklin 5.1 の方が使い勝手が良い。SDカードには、ルートに、ebooksというフォルダを作り、そこに、prc や mobi の拡張子のファイルを複写して、本体のカードスロットに入れて、電源を入れれば、本体の辞書の後に、それらの文書や辞書が表示されるようになる。

 試しに、青空文庫のShift-JIS版のxhtml版を、Mobipocket Reader for Franklin 5.1 で、ファイル変換のHTMLファイルから読み込めば、自動的にprcファイルが作成でき、日本語のタイトルも文章も表示できた。ファイル作成後に、ファイル名を変更しても、表示されるタイトルに影響はない。

 青空文庫のほとんどの文書がこの端末で読めるのは大きな利点のひとつである。古典など、フリガナを括弧()で表記してあるタイプの改行は乱れた感じになる場合もあるが、結構便利そうだ。

調べて分かったことなど覚書

 本体側の解説書(太い方)、ソフトウェアの解説書をざっくり見たが、肝心かなめのSDカードのフォルダ設定の情報などが欠落していてあまり役立たない。

 システムの言語を英語に変えて、その名前から適当にフォルダ名を推測して試してみた。SDカードのルートの下に、enewsという名のフォルダを作り、そこにファイルを放り込めば、e ニュースの所に表示されると分かった。もともとの辞書ファイルが英数8文字以上のものもあるので、ロングネーム(英数半角で30字程度か)も大丈夫である。挙動がおかしくなった時のためにリセットボタンが本体の背面にある。

 さて、良い点をまとめておくと、[1]安い(現在本体が5000円、メディアもSD2GBが300円程度)、[2]小さいから持ち運びが簡単、[3]軽い(電池込みで280g)、[4]連続稼働時間が長い(60時間)、[5]単4電池2本なので国際的に入手可能性が高い。長期の(海外)出張用の書籍(文字のみ)端末としては結構便利じゃないかと思う。文字だけとなると、何千冊入るんだろう・・・。

 悪い点をまとめておくと、[1]画面が小さい(文字の小中大の設定が可能で幾分緩和できるが、環境設定の中に項目があり、キーボード上の単独キーに割り当てがないので変更が面倒なのが特によくない。一応、「FN キー + M キー」で変更可能だが押しづらい)、[2]PC側のソフトの作りが悪い、[3]現在では、e ニュースの提供がないし、prcファイルの有料サイトすらない、[4]フォルダ構造を解さない。そのため、著者フォルダ、作品タイトルファイルなどの管理ができない。スクロール速度が遅いわけではないが、ebooks、enewsくらいしかフォルダがないので、そこに延々とファイルが連なり、作品数が増えると探している作品を見つけづらい。[5]ボタンの一部が押しづらいため、操作しにくい。こんなところでしょうか。

<2012.10.20>

 kindle 向けのファイル変換情報は多いが、煩雑なものが多い。特にpdfからの変換事例が多かった。日本語は、古いEcuタイプの青空文庫の HTML版(随分昔にダウンロードしていたもの)は、Creater 4.2から、prcファイルを生成しても文字化けした。Creater 4.2 と Reader 5.1 の設定画面に、日本語 Unicode (UTF-8)の設定しかない。

 Creater 4.2 では、userの下にあるマイドキュメントに My Publications というフォルダを作り、"***.html"というファイルの場合、 My Publications の下に、"***"が日本語なら英数8文字に置き換えたフォルダを作って、元のhtml、作業ファイルのopfファイル、prcファイルの3個を生成する。日本語ファイル名は非対応のようで、勝手に英数8文字に置き換わる。辞書端末に日本語で著者や題名を表示したい場合は、最初の***の時、日本語であればその情報が反映される仕組みらしい。表示はファイル名順になるので、著作者タイトル順にしたい場合は、ファイル名の変更が必要になる。

ファイル変換の際に、変なタイトルがつく場合の対処法など

 Mobipocket Reader 5.1 でタイトルの変なファイル名を選択した状態で、右クリックすると、プロパティというのが表示される。ここを選択すると、一般のタグがあり、その中に、ebookのタイトルや著者があるので、ここで編集すれば良い。

 本体に複写した時に、これでうまくいかない場合は、Creater 4.2で、PDFファイルのimportを実行する。この作業だけで、htmlと画像ファイル、作業用のoptファイルを作成する。作成場所は上記の通りで、ここのhtmlファイルの<title>タグを編集する。その後、Mobipocket Reader 5.1 でファイル変換のHTMLファイルを使えばOKだ。

日本語ファイル名は不可

 本体が日本語のファイル周辺で固まるため、スクロールが効かなくなる。そのファイルの上側のファイルをいくつか表示できるだけになる(表示数は環境設定の文字の大きさに依存する)。決定を押してもテキストの内容が見れないし、故障の原因になるだろうから、日本語ファイル名は使わない方がいい。

青空文庫の変換作業は結構面倒

 というわけで、青空文庫の規約を読むと、著作権切れはファイル形式を変更しても再配布可能なので、50作品ほど、Mobipocket Reader 5.1 でファイル変換しただけ(ただしタイトル表示の関係で一部タイトル削除したものあり)のprcファイルを zip で圧縮して公開します。ここ(50title.zip;3,022KB)をクリックしてください。

 著者、タイトルをファイル名としていい加減につけてます。芥川龍之介の河童を例にとりますと、akutagawa_kappa.prcのようにつけました。なので一応、著者ローマ字順作品ローマ字順に近くなっています。適当なので所々英語が混じってます。気に入らなければ変えてください。全タイトル打つのが面倒なので、画像を貼り付けます。個別のダウンロード頁を作る気がないので、嫌いな作品はダウンロード後削除するなどしてください。一応、Micrsoft Security Essencialで検疫はしました。選択可能な場合は新字新仮名のものを選びました。
作品名リスト1
作品名リスト2

タイトル、ファイル名などにあるらしい制約事項

 上記50タイトルを入れていた当初は動作に問題が起きませんでしたが、その後、100タイトルを超えたあたりで、動作が重くなりました。解決後、考えられる要因は2つ。[1]ファイル名のロングネーム(英数字のみ)の最大文字数に限度がある。[2]タイトルが「人口論 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて」のように長い場合、表示限度は全角33文字程度で、これを超えるとファイル名が表示される。このようなファイルがあると動作が重くなる。いずれかです。

 [1]について、付属CD-ROMのファイル名が一番長いのは、Adventures_of_Huckleberry_Finn.mobi なので、英数字半角文字30字なので、新しく作成した最大も30字、nakajima_atsushi_gojoushultuse.prc にした所、動作が元に戻りました。そのため、上記 zipファイルの30文字を超えたファイル名2つを30文字以内に変更しました。もともと日本語ファイル名がダメだった時点で、半角空欄などは用いていません。DOSの感覚でファイル名に適さないものは用いていないので、DOSなどでファイル名に適さない文字を使っても不安定化の要因になるやもしれません。

 [2]について、問題のファイルを戻して起動して見ましたが、enews 全体、表示しないため、やはりこちらも対応すべきようです。例えば、青空文庫のマルサスの人口論のタイトルは長いので、ここはHTMLファイルの<titile>タグを全角33文字程度に変更する必要がありそうです。

 SDカードには全く問題ないファイルのみであっても、DB-J260本体のSDカードとPCをつないで、エクスプロラーでファイルのやり取り後、本体を復帰させると、コケることが多いので、その時は、リセットボタンを押さないといけない場合が多かった。復帰後、初めて、ebooksやenewsを読み込む時は、ファイル数が多いと砂時計が出て少し時間がかかる。問題がなければ読み込んだ後はサクサク動く。まぁとてつもなく癖があるが、これらの注意点をクリアしておけば、まずまず使えそうだ。

<2012.10.21>

PDF変換でぐじゃぐじゃになる場合

 上記の Creater 4.2 のPDF import、Reader 5.1のファイル変換のHTML程度では改善しませんでした。Readerではない Acrobat 9.0を持っていれば、別名で保存を選択し、HTML4.01 CSS 1.0準拠で保存したHTMLを、Reader 5.1のファイル変換のHTMLファイルで、そこそこ読めるファイルになりました。画像付はそもそも16階調白黒320x240では、画像の中の文字などは読めることは稀と思われ、あまり挑戦しても甲斐がないと思います。

 ちなみに漫画雑誌の1頁分を prc に変換しましたが、まるで文字が読めませんでした。

 旅行先のバスの時刻表なども最近は、PDF(例えば山梨市のバス)で入手可能ですが、これも Reader 5.1 のファイル変換PDFファイルでは、まともに読めません。これもHTML4.01 CSS 1.0準拠経由で、うまく読めました。 Reader 5.1 及び Creater 4.2 のPDF変換機能には、PDF内の表の処理ができないようです。

小さいフォントに関する制約

 私は製品比較とか仕様書などを見ながら検討したいので、例えば、パソコン関連品のHP OJP 8600の製品仕様をこのDB-J260の端末に放り込んでおいて、と思い、これもHTML4.01 CSS 1.0準拠経由で変換すると、PC上では見えるけれど、文字が小さすぎて、端末では■みたいになって見えないようです。この場合、HTMLのフォントなどの設定項目までいじらないとDB-J260では、読めません。9pt程度必要なようです。

その他に割り振られるファイル

 これまで、英書などprcファイルを、SDカードのebooksの中に入れたことがなかったので、Adam Smith の Wealth of Nationsを放り込んで、ようやく、フォルダの ebooks に ebook形式の prc ファイルがあると、「その他」に振り分けられる事が分かりました。辞書の prc ファイルと区別するということらしい。mobi拡張子の方が普通にebooksに入っていたからそういう仕組みだと思わなかった。つまり、フォルダは2つしか存在しないから、あれこれ試しに作成してファイルを入れても表示されなかったわけだ。

<2012.10.22>

辞書について

 技術仕様については、Mobipocket Developer Centerに記載があり、ここの sample のHTMLファイルを Mobipocket Reader 5.1 でファイル変換すれば確かに辞書として機能するようです。とはいえ、一から作るのは、・・・。検索していたら、EDICT 2 (フリー辞書)のmobipocket 版があると紹介しているweb頁がありました。Vectorからダウンロード可能です。他には、 エスペラント辞書がこちらのweb頁で公開されていました。wikipediaではすでに入手困難などの情報もありますが、prcファイル自体は、kindle で読めることから探せば、案外見つかるかもしれません。しかし、残念ながら、DB-J260のどこに放り込んでも、EDICT2 は安定動作しません。辞書の追加は難しいかも。

一番重要かもしれない制約事項について

 英書はグーテンベルク・プロジェクトを見ると、一部の著書は、拡張子 mobi 形式で配布されています。ただ、これも、一部の書籍は、題名が長いなどの理由で不安定化するかもしれません。確証はないですが、総ファイル数が170超えると不安定化するなど、ファイル数の制約があるかもしれません。

 と書いた後で、FAQを読み返していたら、末恐ろしいことが、・・・

「本体OS(オペレーティング・システム)において、本体ダウンロード領域およびSDカード内のファイルに対する ファイルアクセス機能 に制限があり、このため数多くのe文書やeブック、eニュースを保存すると、一部のコンテンツタイトルが「ライブラリー」画面に表示されないことがあります。ファイルサイズなどの条件により、ライブラリーに全て表示できるコンテンツの数は異なります。申し訳ございませんが、ダウンロードするコンテンツの総数を数十コンテンツに制限して頂けますようお願いいたします。」

 何らかの形でメモリにロードするから、ファイルサイズも影響するのかぁ。SD2GBを有効利用できる可能性はゼロと分かったが、使い勝手悪いなぁ。

 「ライブラリーに全て表示できるコンテンツの数は」たかだか数十ならば、SDカードの2GB対応は無意味だよね。フォーマットできるだけで、2GBまで対応と書くことは、詐欺じゃないかと思う。少なくとも、SIIはそうしたものを過去に売ったというのは問題があるなぁ、幻滅した。私は生産終了品と知っていて買っているからいいけれど、発売当時に購入した人には返金すべき欠陥のように思うんだがなぁ、・・・。

<2012.10.23>

 Kindle Paperwhiteが、8400円で発売された。バッテリー8週間とあるが、1日30分使用とあるので、時間換算すると、たったの 28時間。DB-J260(60時間)の半分未満かぁ。しかし、amazonのバッテリー比較の表は、不当な表示に思えるがなぁ。詐欺まがいの広告が多すぎる。

<2012.10.29>

Kazari