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 審判ルールの改善がない限り、ワールドカップはつまらない誤審の展示場となって、観戦が楽しめない。開催国に近い国のチームが勝ちあがらないと盛り上がらない(観客動員数が落ち、利益が上がらない)から、開催国近くを優遇する商業習慣でもあるのだろうか。ヨーロッパ開催の今大会は、ヨーロッパ諸国にはペナルティキックを与えるという不文律でもあるかのようだ。FIFAの商業主義が八百長を生む要因になっているように思える。

 これまで指摘した通り誤審が減らない。主審や副審の運動量が要求される以上、ある程度は仕方ないが、ラグビーなどと違い、一点で試合が決まることも多いサッカーでは、よりひとつの誤審が勝敗の行方を左右してしまう。ドイツ大会の途中ではあるが、グループリーグにおいて、フランス対韓国戦のフランスのゴールが幻と化した(主審ベニト・アルチュンディア:メキシコ)。これは試合をとめて映像で確認すれば防げる誤審である。トーゴ対スイス戦ではアデバヨールがペナルティエリアでファウルを受けてもPKにならなかった(主審カルロス・アマリージャ:パラグアイ)。ポルトガル対イラン戦ではフィーゴが同様のファウルを受けて、PKとなった(主審エリック・プラ:フランス)。

 決勝トーナメント1回戦イタリア対オーストラリア戦では、後半ロスタイムにPKを得た(主審ルイス・メディーナ・カンタレホ:スペイン)。準々決勝ドイツ対アルゼンチン戦では、88分マキシ・ロドリゲスがペナルティエリアで同様のファウルを受けて、逆にシミュレーションの反則を取られた(主審ルボス・ミッシェル:スロベキア)。こうした開催国周辺諸国優遇に映る誤った判定にはうんざりする。

 どうせシミュレーションを取るなら、グループリーグにおいて、ポルトガル対イラン戦でC.ロナウドが相手選手を抜くことができるのに、スタミナ温存のためか、やや遠めにボールを出し、そのライン上に相手選手をおいておもいっきり突き飛ばして、逆にファウルをもらおうとするようなラフプレイに出して欲しいものである。

 それとグループリーグの日本対オーストラリア戦において、中村俊輔のFKに対する高原がゴールキーパーに対するファールチャージの反則を見逃したというのなら、ドイツ対アルゼンチン戦のクローゼもキーパーに対するファールチャージの反則である。日本対オーストラリア戦の主審エッサム・アブデルファタはゴールの判定をした後、試合中(スタジアムのビデオを見て?)、柳沢のファウルの誤審とオーストラリア主将ビドゥカに謝罪したと読売新聞が報じた。誤報だろうが、映像確認で防げる誤審はなくすべきだ。

 私は誤審が多い審判であると思うのはルボス・ミッシェルである。グループリーグではスウェーデン対パラグアイ戦、決勝ではブラジル対ガーナ戦、ドイツ対アルゼンチン戦などの主審である。ブラジル対ガーナ戦では特に変な判定はなかったが、この事からも、審判の出身国を問題にすべきだと思う。審判の疑惑の判定を除くためには、対戦国のグループ(アフリカ地区、アジア地区、ヨーロッパ地区、北中米カリブ地区、南米地区、サポート&デベロップメントグループ)とは違うグループ出身の主審をたてれば効果があると期待できる。私が誤審と見たほとんどのケースが同じグールプに有利な判定を行う誤審である(八百長もしくは買収された結果かもしれない)。ワールドカップでは対戦国グループ外の主審を立てるとルール改訂すれば、この類の誤審は激減が期待できる。是非、ルール改訂していただきたい。

 兄弟的なスポーツで、より判定の難しいが、骨折などが選手生命をおびやかさない?と考えるラグビーですら、主審は映像の力を活用している。サッカーはラグビーと比べて格段に得点機会が少なく、怪我が選手生命をおびやかすため、ラグビー以上にフェアプレイを促進し、かつ公平な得点機会を与えるべきルール改正が必要だと思う。つまり、ペナルティエリア内の反則について、決定的得点チャンスを妨害したファウルをペナルティキック、そうではないが明らかなファウルが映像で確認された場合は、例えばペナルティエリアから10m下げた地点でのフリーキックとかコーナーキックにするなど、よりフェアプレイを促す厳格なルールに変更して欲しい。

 もうひとつ観戦をより冷静にできるようにするため、ポルトガル対イギリス戦で62分にルーニーがレッドカードで退場となった際に、どのような理由のレッドカードなのか、身振りで分かるように制度化して欲しい。そうすれば、サッカールールブックには審判に対する暴言や侮辱的な行為はレッドカードと書かれているので、そのケースと即座に判断できるかもしれない。テレビ解説者がいい加減な解説をしていたため、余計分かりづらかった。

<2006.7.3記>

Kazari