低質なマスメディア:世界卓球
まずは、2009年世界卓球の松平健太選手の健闘を称えたい。毎日新聞は、あろうことか、この松平健太選手の名前を、松平健として報道していた。スポーツ担当が書いた記事として名前の間違いはあり得ない水準のものである。
wikipediaにも次のように日本卓球界の期待の星であることが書かれている。
ジュニアとは言え、世界大会での日本人選手のシングルス優勝は27年ぶりの快挙であった。
2009年の世界選手権横浜大会では、北京オリンピック金メダリストで世界ランク2位の馬琳とフルセット9-11で敗れる大健闘を見せてベスト16で終えた。
確かに阿保な人が卓球界のマツケンとか言っていたが、そんな事で間違えていい事にはならない。さて毎日新聞にまともな訂正記事がでるかしらん。
この松平健太(世界99位)選手の馬琳(世界2位)との試合は圧巻であった。18歳とは信じがたい老獪な試合運びをしていたように思う。技術の高さもあるだろうが、それが劣っていても読みの良さと戦略の良さで補っているように見えた。ダブルス終了後の水谷隼人選手の金メダル発言は、かなり無理している印象が否めなかったが、松平健太選手の「5年後、世界チャンピオンを目指す」と言う発言は、謙虚に聞こえるほどであった。
松平健太選手は、世界卓球横浜大会において一番輝いていた日本選手である。まだサーブの技術に頼っている試合運びであるが、将来が本当に楽しみである。石川佳純(世界99位)選手も今大会で何かひとつ突き抜けてくれたという印象を与えた一人である。世界10位の帖雅娜(香港)に3ゲームを先取され、4ゲーム目も9-3と追い込まれ、傍目から見れば、涙目になっているように見えた石川佳純選手が開き直っての逆転劇であり、とても立派であった。
しかしテレビ東京の放送は出鱈目である。まず解説が低質である。石原氏は応援団だから仕方ないにしても、解説に間違いが多いのは問題である。そして、試合中のイエローカードなど日本に出た場合の説明が出来ないことがほとんどであった事が不可解である。生放送でもないのになんでかねぇ。
具体例をあげれば、石川佳純選手が張怡寧(世界1位)との試合において、2ゲーム目取り返した後の4ゲーム目辺りで、解説の耄碌じいさんが「この試合、はじめてラリーで競り勝って石川佳純選手が得点しました」と嘘をついておった。2ゲーム目を見ていない人は本当かと誤解するではないか。だいたい張怡寧(世界1位)ほどの選手から1ゲームを取る際に、1本もラリーで競り勝たずに取れるほど、卓球が甘いスポーツのはずないだろう。
それに石川佳純(世界99位)選手が、対帖雅娜の試合でもらったイエローカードの理由は何だろう。エッジやネットインで声を挙げたマナー違反かな?そういう所はテレビ局ごときが編集するなよと言いたい。
それに松平健太(世界99位)選手の対馬琳(世界2位)の試合のフルセットのゲームで、コーチが一度タイムを取った後に執拗にタイムを取ろうとして審判からイエローカードを喰らっていた。試合後、松平選手に対してコーチが「取ったっけ?」みたいな発言をしている時に、「もう取りました」と答えている部分が放映されていた。これはコーチが松平選手の試合の足を引っ張った事になるため、糾弾されてしかるべき事柄ではないだろうか。選手の方が冷静ならコーチなどいらんじゃないか。このコーチには何らかの処罰を課して欲しいものである。
世界卓球横浜大会のテレビ東京の報道はなっていない出鱈目があまりに多い。例えば、中国女子ダブルスペア同士の決勝戦の解説に呼ばれた日本女子ダブルス選手の扱いである。普段の中国選手との交流などは試合前に正式にインタビューして行えといいたい。決勝戦と関係のない過去の日本選手の試合の感想も正式にインタビューを申し込んで選手にお金を払って行いたまえ、テレビ東京。せっかくの世界最高水準の試合にも関わらず、試合の解説がほとんどなく、すばらしいラリー中もくだらない雑談を続けるという顰蹙モノであった。
何を強要されていたのか知らないが、日本の女子選手もメディアの圧力など無視して、ちゃんと技術の解説をして下さいな。ちゃんとした卓球ファンが育たないよ。
いくら打倒中国といっても、試合後、中国選手であれ、きちんと勝利者インタビューを行わないのも変である。その試合の何が良かったと考えているのか知りたいと思う観戦者は多いのではないだろうか。
それにしても、最近のあらゆるスポーツ選手は可哀想である。試合に勝てるのは選手の実力が大半で、ファンのおかげのはずはないだろうと思うが、そう言わなければならないよう強要されている。プロ化してようが、不自然な気がしてならない。健全な客であれば手抜きさえなければ満足するはずである。実力差があっても、途中で試合投げたような試合をすればブーイングすればいいと思うが、・・・。
スポーツでの観戦については、サッカーの中村俊輔選手のインタビューが参考になる。「ヨーロッパで試合をしていると、試合中きちんと守備に回ると拍手が来る。守備をしないとブーイングが来る。こういう声援に接するとファンに育てられていると感じる」という主旨の発言をしていて印象的だった。そういう目の肥えたファンであるならいいが、今の所、サッカーも卓球も日本の応援は、まだそうした水準にはるかに及ばないようである。それはマスメディアの解説の悪さが応援の質を高めるのを妨害しているためでもあり、フィギュア・スケートでは荒川静香の解説によって大きく改善され始めているように思う。
<2009.5.06記>
さて、一年後の世界卓球の放送。追記するのを忘れていた。前回、多くの視聴者からクレームがあったと見えて、下手糞ながら試合を解説する人間が一人ついての放送となった。少しだけ改善と言えようか。他国の試合中の日本人選手へのインタビューもなくなった。他国の選手の勝利者インタビューも放送されなくなった。
スポーツ中継は普通に行ってほしいものだ。民間放送局ごときが一国の愛国心を変なやり方で煽ったりするものではない。中立的なスポーツ中継を見ても、国民はちゃんと愛国的に日本の応援をするだろう。どうしても愛国主義の放送をしたいのなら、副音声で行えばいいだろう。去年の放送で白けていたので、今年は少し見て、放送自体はたいした進歩がないので、途中から音声無しで見ていた。
昨年の記事で、水谷隼人選手には厳しい内容の事を書いたが、今年の水谷隼人選手の活躍には脱帽した。基本体力が劣っていると自覚していたとは知らなかったし、この一年間、脚力の基礎強化に励んでいたとはすばらしい。今後も活躍することを期待したい。
<2010.9.06追記>