World Cup雑感
相変わらず誤審が多い。典型的にはイギリスのドイツ戦における幻のゴール。その他では特にオフサイド。ブラジルの対チリ戦の2点目カカのラストパスや、ドイツの対アルゼンチン戦の2点目、ラストパスの一つ前のパスなど決定的な局面での誤審が多い。ドイツのようにカウンターで攻守の切り替えが早いチームの際に、ラインズマンが追いついていないのが原因のひとつと思われる。前大会に比べ、シミュレーションも取らなくなった。ハンドに対するイエローの出し方があそこまで個人差があっていいのかも疑問である。
上記した中では笛の吹き方の個人差は微妙だが、それ以外はビデオ判定で改善できるので、ルール改訂すればいいだけの話。そのビデオ設置が難しいというのなら、決勝のベスト16以降の8、4、2、1の計15試合だけでもいいから、ビデオ判定つきにしてほしいものだ。「審判の誤審もサッカーのうち」というのを選手が納得していたとしても、健全なファンからすれば、試合がしらけるだけなのではないだろうか。私は誤審で応援チームが勝っても勝った気がしないし、喜べない。
今回の日本の強化試合は結果が出なかったことよりも、岡田監督の目指したサッカーが何だったのか、伝わらなかったことの方が問題だと思う。今大会のドイツみたいなサッカーをしたかったのかな?
あらゆる可能性をためすというなら、なぜ強化試合などで、本田と岡崎をツートップにして彼らにボールを供給する適任のMFを、松井、長谷部、遠藤、中村俊輔、中村憲剛あたりから選ばなかったのか、疑問も残る。誰を出しても通じるサッカーといっても、それは短期決戦に向いた戦略なんだろうか? パスサッカーを目指したが強豪に通用せず、連携、動き出しも統一されずというのでは指導者として何か問題があったようにしか感じない。その結果として、守りを固めてカウンターと弱小チームの戦略に切り替えて、成功しても今後につながるのかも疑問である。まぁパスサッカーを選手が希望してやっていたのならまだしも、・・・。
強化試合から予選などで機能したラインは、俊輔がボールをもって前を向いたときの憲剛、松井の時に本田、本田の時に岡崎くらいしか動き出しができていなかったように思う。決勝に進める試合となったデンマーク戦は、2点がセットプレイであるが、得点に結びついた以外のセットプレイの質はあまり高くなかった。
DF陣では、長友がすばらしかった。運動量、スピード、フル出場にもかかわらす、後半に相手チームが足の速いFWを投入しても互角に渡り合っていた点など文句のつけようがない。中沢や闘莉王もスピードのなさをうまく経験や技術で補っていた。それができたのも、長友やキーパー川島の存在が大きかったように思う。FW陣にホストプレイができる選手として矢野一人というのは、決定力不足解消としては違和感が残る。高原はすでに引退しているから仕方がないのかもしれないが、せっかく世界クラスのDF長友がでてきたところなので、もう一枚長身の世界クラスのFWがでてきたら、攻撃に厚みを出せるのではないかと思う。必要なら、こうした特定ポジションの選手強化や育成をしていくのも今後、必要になるのではないだろうか。
<2010.7.6記>
テレビで誤審が解説される際は、ラ米が得をしたケース(といってもラ米同士の試合がほとんど)と、イギリスの幻のゴール(対ドイツ戦)に偏っていた。幻のゴールは一番最悪の誤審だからしょうがないにしても、他の選定には意図的なものを感じる。実際には、ラ米とヨーロッパ間の試合で、ラ米に不利な判定が多かった。
それとテレビの岡田監督擁護論の情報操作が激しく、気持ち悪い。岡田監督によれば、パラグアイ戦は最後まで勝ちにいったそうである。本人がインタビューでそう答えていたが、もしそうであるなら、3枚目のカードをなぜもっと早くに切らなかったのか、まるで理解できなくなる。そのテレビ放送では、2枚目の中村憲剛までしか説明しなかった。単に優柔不断で決断できなかっただけだろう。それから、相手のDFが攻撃参加した際に、阿部選手が独自判断で守備に入ったことをなんか誉めていたが、Jリーグでもそれくらいのことは普通にするのではないだろうか。仮に選手が適当に攻守や左右の切り替えをしていたとしても、それはオシム監督がさかんに言っていたことのひとつで、岡田監督の成果というよりは、オシム監督時代の成果というべきだろう。ちなみに「レベルがあがるときれいにパスが通らなくなるから、運動量でカバーするしかない」という内容も、オシム監督が指摘していた事柄である。岡田監督が強化試合でまったく結果を出せなかったから、本大会ではオシムの頃に回帰しただけとも考えられるし、自分の手におえず、選手の裁量に放任した可能性もあると思う。
かりにパラグアイ戦にPKで勝てた場合、負傷の今野を温情で日本代表に残したことは、単に非難の対象にしかならかったはずである。パラグアイ戦の3枚目のカードをあの時間帯に変えるのであれば、当然PKのうまい選手を入れるべきである。全般的に決断力が岡田監督にあると思えず、次回は是非、別の監督で望んでほしいと思うのだった。
<2010.7.13追記>