開発経済の専門用語

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[単語]  意味   記述日
規制緩和
日本では、deregulationの訳語のように使われているが、実際は概念がまったく別物になってしまった用語である。日本の規制緩和は、殖産興業のところがすっぽりなくなったもので、大企業優遇と天下りのための政策になっている。
この項目の参考文献の分析によれば、日本が会社本位主義が原因という。独占禁止法や労働基準法の規制を真面目に運用せずに、その一方、不適切な行政指導という形で規制を行ってきた結果、企業の社会的責任が問われない社会に日本はなっている。その説明事例として、ドイツと日本の比較を行っている。ドイツでは、企業誘致の成功にともなう地方税収には(一企業の地方税収に対する)上限があって、それを超えると、市町村に分配される仕組みがある。しかし、日本にはそのような仕組みがないことや次のような事例があげられている。筑豊炭田付近の工場誘致に失敗して、トヨタの九州工場がご破算になると、その工場誘致のためになされたインフラ整備は、日本では泣き寝入りするほかなく、地方の財政圧迫要因となるが、ドイツでは市民運動がおきて、そのような事が不可能になっているという。つまり、ここでも日本企業は政府にたかれる構造があることになる。
同書によれば、経団連などが労働基準法の緩和に直接言及するような愚かしいことは現実には起こらないだろうと甘い見通しが述べらているが、現在の経団連やアメリカは労働条件の悪化を実施しないと国際競争に生き残れないと言い出している。
(参考文献)内橋克人[ほか編](1994)「企業活動の監視」岩波書店
2012.9.20
独占的競争市場
その内容がかなり変遷している概念である。
当初はChamberlinあたりが定義した意味で使われていたが、一時期は、ほぼContestable Market Theoryの事を指していた。Contestable Market Theoryは、米国の経済研究機関RANDが、独占企業からの資金を下に開発した経済モデルである。かなり有名な話だが、知らない人も増えているようである。最近の独占的競争で引っかかる内容を見ていると、当初の意味とは別の内容のものがかなり見受けられる。現在はかなりあいまいな意味か、Dixit-Stiglitz による製品差別化モデルを指すようになっている。
2012.2.17
Kazari