開発経済学



第1章.テキスト選び

 大まかな選択ポイントや良いテキストの調査方法は経済学のテキスト選びの章を参照してください。

 開発経済学は、扱う範囲が膨大です。日本語のテキストは、あまり分厚くならないよう出版社が圧力をかけるためか、網羅的な教科書は高値の訳書くらいしかありません。網羅的な本としては、Michael P.TodaroのEconomic Developmentが有名です。訳書は国際協力出版会から出ています。

 こうした事情から、これ一冊読めばといった本は上記以外にほとんどありません。一定水準を超えている様々な観点からの本を複数読む以外ないように思います。

良いテキストの例
絵所秀紀(1997)「開発の政治経済学」日本評論社
高木保興(1992)「開発経済学」有斐閣
渡辺利夫,堀侑[編](1983)「開発経済学」アジア経済研究所
渡辺利夫(1996)「開発経済学 第二版:経済学と現代アジア」日本評論社
西垣昭・下村恭民(1993)「開発援助の経済学」有斐閣
寺西重郎(1995)「経済開発と途上国債務」東大出版
石川滋(1990)「開発経済学の基本問題」岩波書店
石川滋[編](1996)「開発協力政策の理論的研究」アジア経済研究所
原洋之介(1985)「クリフォードギアツの経済学」リブロポート
原洋之介(1996)「開発経済論」岩波書店
アジア経済研究所[ほか編](1997)「テキストブック開発経済学」有斐閣
大野健一・桜井宏二郎(1997)「東アジアの開発経済学」有斐閣

 日本人の書いた本は、専門としている地域がアジアの方がほとんどのため、アジアを念頭に置いて書かれていることが多いです。アフリカなどに関心がある方はタイトルにアフリカなど地域名が入ったものを中心に読んだ方がよいでしょう。

 大学院生向けの開発経済学のテキストで、これ一冊読んでおけばというような本はまったく思いつきません。成長理論は一冊くらい読んだ方がいいと思います。

成長理論のテキストの例
Rovert J.Barro, 1995, Xavier Sala-I-Martin, Economic Growth, McGraw-Hill
Rovert M.Solow, 2000, Growth Theory, Oxford Universtiy Press
Kazari