開発経済学



第2章.理論モデル

 開発経済学における理論モデルはあまり多いと考えられていません。計量経済学を用いた実証分析の結果がよいモデルでも、理論モデルの現実妥当性が貧弱な場合も多いのが現状です。また、理論の持つ現実の説明力があっても、統計がとり難く、実証分析が困難な場合も少なくありません。

 実証は難しいが理論として正しいと考えられている理論モデルの代表格としては、農村・都市間の労働力移動と失業を説明するHarris-Todaro(1970)が挙げられます。

Harris, J. R. and Todaro, M., 1970. “Migration, unemployment and development : a two-sector analysis”, American Economic Review, 60, 126-142.

 理論なき実証研究で、計量経済学上の検定で統計的に有意に出やすい実証モデルとしては、重力(gravity)モデルなどがあります。二国間貿易の強さを物理学の惑星の関係になぞらえて、距離やGDP規模で説明するモデルです。一応、理論もありますが、こじ付けのように受け止められています。

 経済学の中で、時系列、クロス・セクションのデータともに実証されている理論はあまり多くありません。圧倒的なのは、エンゲル(C.E.Engel)の法則くらいです。これも厳密に言えば、エンゲルの経験則くらいに表現したほうがいいかもしれませんが、・・・。

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Kazari