第1章.テキスト選び
大まかな選択ポイントや良いテキストの調査方法は経済学のテキスト選びの章を参照してください。
ミクロ経済学や経済数学の分野で国際的に活躍している日本人の経済学者は、マクロ経済学より多いため、ミクロ経済学の教科書の方が日本語の良書が多くあります。しかしながら、最近は資格試験向けに書かれた悪書も目立つようになりました。
新書でよいのは、奥野正寛の本です。ちゃんとした経済学者が、教科書として書いた新書サイズの本はあまりないように思います。随筆的な本は各出版社の新書シリーズがありますが、教科書となると他には岩波新書くらいでしょうか。全般的に新書サイズ限定の場合、日経文庫のシリーズが良い印象があります。
奥野正寛(1992)「ミクロ経済学入門 第二版」日経文庫 F3日経文庫のテキストの出来にもかなりの差があり、一定水準以上と感じた著作のみ以下、列挙しておきます。篠原三代平の経済学入門、国友直人の現代統計学、宮川公男の計量経済学入門、宮沢健一の産業連関分析入門、安川正彬の統計学入門です。
ハードカバーには良書がたくさんあります。すべてに目を通しているわけではないのですが、既に経済学の方で挙げた岩波書店の旧シリーズ本である「価格理論」や岩波のモダンエコノミック・シリーズのミクロ経済学は優れています。後述した洋書の訳本もあるので、それらを図書館・書店で眺めて選べばよいと思います。
より本格的に勉強される方には、洋書の良書を紹介しておきます。
- 洋書の良書
- Andreu Mas-Colell, Michael D.Whinston, Jerry R.Green, 1995, Microeconomic Theory, Oxford University Press
- Hal R.Varian, Microeconomic Analysis, Norton
- E.Malinvaud, Lectures on Microeconomic Theory, North-Holland
機械的と評されることもありますが、Mathematicaなど使える環境にある人は、Hal.R.Varianのテキストは良いです。以前、Mathematicaのweb頁に、Varianの作ったプログラムが無料で公開されていました。これらをいじってみると、より最適化などの意味が視覚的に理解でき、計量経済学などを学ぶ際にも役立ちます。
Mathematicaを使ったミクロ経済学の本では日本人著者の小林道正の本もあります。いずれもinternet上からプログラムが入手でき、視覚的に捉えることができるのが良いです。