第2章.ケインズ経済学
ケインズに関しては、アダム・スミスと異なり、その人物を知るために、本を手軽に入手できます。新書サイズのものから専門書まで多く存在します。題名に「ケインズ」を含む読んだことのある本などを列挙してみると
- 伊東光晴(1962)「ケインズ」岩波新書
- 根岸隆(1980)「ケインズ経済学のミクロ理論」日本経済新聞社
- 根井雅弘(1991)「『ケインズ』革命の群像」中公新書 1029
- 吉川洋(1995)「ケインズ」ちくま新書035
- 金森久雄[編](1996)「ケインズは本当に死んだのか」日本経済新聞社
- 根井雅弘(1996)「ケインズを学ぶ」講談社現代新書1302
- 吉田雅明(1997)「ケインズ 歴史的時間から複雑系へ」日本経済評論社
- J.M.Keynes[著]宮崎義一,中内恒夫[訳](2005)「ケインズ 貨幣改革論 若き日の信条」中央公論クラシックス W45
- J.M.Keynes[著]塩野谷祐一[訳](1995)「雇用・利子および貨幣の一般理論」東洋経済新報社
と様々です。特に近年、原書の訳本が手軽に入手可能になりました。最後の二冊なんかを読んでおくと、解説書の類しか読んでいない専門家の底の浅さを体感できるようになります。残念ながら、海外の有名なマクロ経済学の教科書の類や、ケインズの伝記を読んでも、ケインズの経済学の良さはあまり学習できません。ですから、ケインズの書いた「一般理論」や論文を読み解くより他ありません。必ずしも数学的なモデルになっていませんが、ケインズの言いたいことは、現在の数学程度で表せるような内容ではありません。この辺も新古典派が慢心して、New Keynesianを含め、ケインズ経済学を歪めていると思います。もし、ケインズ経済学を著者本人以外の書物から詳しく知りたければ、Post Keynesianの議論を踏まえておくと参考になります。一番良いのは、J.Robinsonです。
- J.Robinson[著]山田克己[訳](1988)「資本理論とケインズ経済学」日本経済評論社
- George A.Akerlof, Robert J.Shiller[著]山形浩生[訳](2009)「アニマルスピリット」東洋経済新報社
ケインズは、イギリスの不況下にあって、古典派経済学者との対立を通じて、マクロ経済学の基礎分析概念を生み出すことになりますが、まず、古典派経済学との相違を見ておきましょう。
ケインズはその主著「雇用・利子および貨幣の一般理論」において、古典派の労働市場の理解は、現実を見ないで、理論から推論した結果の錯誤である点を丹念に書いています。こうした叙述は現在の石原都知事の雇用問題に対する発言への批判にもなっています。
この項目は書きかけです。3章までタイトルだけ先に決めました。